外国籍の医療従事者に永住許可、米国コロナ対策の切り札となるか

リチャード・J・ダービン上院議員(Photo by Sarah Silbiger/Getty Images)


雇用に基づく移民ビザは、各会計年度に14万件の発給枠があるが、この枠のすべてが埋まるとは限らない。年度内に使用されなかった枠は、その年限りで取り下げられてしまう。こうして過去30年間にわたり使われずにため込まれたグリーンカードの枠は、累積でおよそ20万件に達している。

4月30日に提出された法案のもとでは、こうした移民ビザのうち約4万件を「再有効化」する権限が政府に与えられる。

米国では、すべての医療従事者のうち17%を外国からの移住者が占めており、医師ではその割合は4人に1人に達する。新型コロナウイルスの感染拡大により、米国がリソースの限界に近い状況に追い込まれるなかで、こうした医療従事者の役割は今後、かつてないほど重大なものになるとみられる。

人材の増強を求める切実な声に応えて、米国務省の領事局では、外国籍の医療従事者の入国手続きを迅速化すべく取り組んでいる。同局は公式ウェブサイトに勧告を掲載し、入国を希望する医療スタッフに対し、最寄りの大使館や領事館のウェブサイトで、移民ビザ取得のための面接の予約手続きを確認して欲しいと呼びかけている。

国務省は3月20日以降、新型コロナウイルス感染症のパンデミックへの対応として、すべての在外大使館および領事館における通常のビザ業務を停止している。ただし、緊急および代替不可能な任務に関するビザ業務については「リソースが許す限り」大使館や領事館で継続する方針を、同省は示している。

今回の法案が連邦議会で可決された場合、外国籍の医療従事者を速やかに入国させる手続きは、すでに利用可能な状態にあるようだ。残る問題は、この法案が議会で可決成立されるかどうかだけと言える。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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