ビジネス

2020.05.17

パンデミック終息後も遠隔勤務を続けるべき理由とは

Jelena Zelen / shutterstock.com

新型コロナウイルスの感染拡大に関する悪いニュースがほぼひっきりなしに報じられるなかでは、落胆したり、落ち込んだり、いらいらしたりせずにいるのは難しい。悲惨な報道のなかにわずかでも明るいニュースが混ざっていれば、人々はそれにしがみつく。大都市の大気汚染が改善された話であろうが、最前線で治療にあたる医療従事者の力量や不屈の精神についてのニュースであろうが、必死になって耳を傾けるのだ。

そんななか、ひとつの重要な動きが背景に浮かび上がってきた。ほとんど見落とされているその動きとは、オフィスで働く人々の大半が、迅速かつ手際よく在宅勤務へと切り替えたことだ。この大きな変化こそ、新型コロナウイルス終息後の世界でも維持され、いっそう活用されるべきものだ。その理由を説明したい。

下のデータは、ビデオ会議用カメラメーカーOwl Labsが2019年9月に発表した「リモート勤務の現状2019年報告書(State of Remote Work Report 2019)」から、主要な結果を抜き出したものだ。この報告書では、リモート勤務する米国の労働者たちが、オフィス以外の場所で働いている理由が明らかにされている。

在宅勤務者が挙げた理由でもっとも多かったのは「ワークライフバランスを向上させるため」で、調査対象者の91%がそう回答した。2位は「生産性と集中力を向上させるため」で79%、3位は「通勤したくないから」で78%だった。理由の上位にはほかにも、節約や経済的事情も含まれていた。これは、世界がパンデミックから回復したあとに、人々が在宅勤務をする大きな要因となるかもしれない。

リモート勤務は贅沢な働き方であり、すべての労働者が可能なわけではないのは言うまでもない。しかし、この先待ち受けている時代には、リモート勤務という働き方が、深刻かつ誰の目にも明らかな問題を解決に導いてくれる可能性がある。

ニューヨーク市やサンフランシスコで働く労働者は、自身の給料の多くの部分を払って住居を借りてまで、ほかの場所でも難なく対応できるオフィスの仕事を続けたいと思うだろうか。ミレニアル世代は、「一生に一度」レベルの危機を二度も遭遇して打ちのめされている。つまり、2008年の金融危機と、今回の新型コロナウイルス危機を体験しているのだ。

従業員に対する信頼が高まったことと、オフィス以外の場所で働くことが以前より許容されるようになったことで、人々は、手ごろな価格の土地や住宅が手に入る場所に移り住むようになるだろう。サンフランシスコのベイエリアにある60万ドルのワンルームに住むのではなく、仕事の事情が許すなら田舎に引っ越そうと考えるわけだ。

小さな町や村へと人々の移住が進むのに併せて、在宅勤務やリモート勤務へ移行する現在の流れを利用すれば、富はより平等に配分されるようになる。Zoomのようなオンライン会議用ツールが登場したことで、企業では今後、バーチャルな環境で行われる業務が増えるかもしれない。

それは結果的に、環境のためになる。在宅勤務が許可されれば、朝晩のラッシュアワー時に通勤する人が大幅に減り、地球にはさらなるメリットがもたらされる。老朽化するインフラへの負荷も軽減されるだろう。

新型コロナウイルス危機は、常軌を逸した一大事だ。しかしその裏には、ほかの問題を改善しうる解決策が隠れているかもしれない。

リモートワークする主な理由(米国の遠隔勤務者を対象にした2019年調査結果)


(カッコ内は回答の割合)
ワークライフバランスを向上させるため(91%)
生産性と集中力を向上させるため(79%)
通勤を避けるため(78%)
ストレス軽減(78%)
節約、経済的事情(76%)
オフィスでの諸問題の軽減(73%)

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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