ここで紹介するのは簡略版だ。最新の予備研究により、コーヒーが目の覚めるような健康上の利点と結びついている理由が明らかになった可能性がある。そしてそれは、特定の遺伝子のスイッチ切り替え(「エピジェネティックな変化」と呼ばれるプロセス)に関して、あの甘美な飲みものが果たしている役割と大いに関係があるようなのだ。
「健康上の利点って何?」と訊きたい人のために、ここで簡単におさらいしておこう。コーヒーの摂取をめぐるこれまでの研究では、血糖値の低下、肝臓の健康向上、記憶の向上、認知症発症の予防などとの関連性が指摘され、全般的に寿命をのばす可能性まで指摘されている。そうした相関性に加えて、コーヒーには、気分を高めて、午前8時から正午までを耐えやすくしてくれるさまざまな化学物質も含まれている(私たちの大好きな合法ドラッグ、カフェインもだ)。
前述の最新研究では(強調しておくが、これは予備研究で、ピアレビューの段階にある)、コーヒーが(ある程度はお茶も)、そうした健康上の利点と関連しているとする研究がこれほど多いのはなぜか、その解明が試みられている。コーヒーとお茶に関する研究のほとんどは観察にもとづくもので、因果関係ではなく相関関係に大きく偏っている。そのため、健康上の利点の根拠が突き止められるとすれば、なかなかすごいことだ。