韓国はどうやって成功したか?
このプロセスを実にうまく行っている国は韓国だ。ではどうやってやっているのか?
接触者追跡担当者が用いるテクノロジー:感染者の個人データ
図26.b 韓国のアプローチ:インタビューとGPS/クレジットカード/監視カメラへのアクセスを通した接触者の特定
(凡例)
●赤:感染者
●青:調査担当者とのインタビューで特定された接触者
□緑枠:GPSおよびクレジットカード情報をもとに特定した接触者
●緑:調査担当者が監視カメラにアクセスして特定した追加の接触者
韓国の接触者追跡担当者は、ボブのような感染者のGPSとクレジットカードの支出データにアクセスできる。結果、ボブが過去2週間どこにいたかを非常に容易に把握できる(グラフの緑色の四角部分)。
ボブがどこにいたのかはっきり思い出せれば、彼が出会った可能性のあるすべての人々を特定するのははるかに簡単になる。監視カメラや、バスやジムのタグ付けシステムへのアクセス履歴といった情報があれば、ボブの接触者情報をさらに補完できる。結果としてこの架空のシナリオでは、18〜41人の接触者が追跡される。まだ55人には届きかないものの、75%と、感染拡大に劇的な影響を与える圏内に入っている。
これらの数値は概算だが、韓国の現実を反映している。韓国ではこのような方法で接触者を追跡し、新たな感染爆発を回避することに成功した。韓国の事例は、このような対策をうまく実行することだけでも十分に流行を制御できる可能性があることを示している。
(編集部での訳出時、「ハンマー戦略とダンス戦略」続編3:検査と接触者追跡の方法を参考にさせていただいた)
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