新型コロナと人類は「ダンス」で共存? 40カ国語に訳された米対策論文のシナリオ

「コロナウィルス感染者は他の人をどのように感染させるか」を示したグラフ(Tomas Pueyo)



COVID-19の接触者の調査と監視に取り組む、アンカレッジ保健省とアンカレッジ学区の看護師で組織されたチーム。アンカレッジ ダウンタウンの保健局の会議室で(4月16日)。写真:ADN 所属Loren Holmes、Anrenrage Daily News

ボブの証言+先端技術


接触者追跡チームは、いくつかの機能を持ち得ます。まず、彼らはボブをはじめ、感染した人たちのリストを与えられる。彼らはボブにインタビューして、彼が過去2週間にわたって訪れたすべての場所と、一緒にいた人を把握する。

ただ、ボブの証言は必ずしも信頼できるとは限らない。そもそも今病気だし、記憶が怪しかったり、混乱していたり、悲しみに暮れていたり、非協力的だったりするかもしれない。

ただし、チームも先端技術を駆使して支援する。韓国で、接触者追跡担当が携帯GPSデータ、クレジットカードの支出データ、そして監視カメラ映像、接触者追跡アプリの出力を使っていることはまさにその好例だ。

これらすべての情報を使用して、ボブが接触した人物のリストを、感染した可能性の高い順に並べる。

次に「これらの接触者すべてに電話」する。そして、感染の可能性の大小と政府のルールに応じて、検査を受けるか、自己検疫するか、単に症状を確認するか、を指示する。

しかし、そもそも接触者とみなされる要素は何で、何人くらいの接触者の追跡が必要で、その追跡はどれくらい急務なのだろう?

「接触者」とみなされる要素は何か?


ほとんどの人が感染性を維持すると考えられるのは約2週間なので、標的にするべきなのはボブが「過去数週間に接触した可能性がある人」だけだ。それ以前にボブが感染していた可能性は低く、もし感染していても、接触者を感染させた可能性はほとんどない。

そしてボブが「過去数週間に接触した可能性がある人」のみを特定しようする場合、ボブの家族は全員、非常に感染の可能性が高い。逆に、彼が通りですれ違った5メートル先を歩いていた人々を視野に入れる必要はない。

すでに「三密」と言われているように、人が互いに近づいたり、話したり、咳をしたり、長い間歌ったりするような密封環境では、感染ははるかに起こりやすくなる。

接触者特定に関して、どの国も規則にしていることがある。たとえば「2メートル以内で一緒に15分以上過ごしたかどうか」。しごくもっともなルールだが、実際の施策ははるかに曖昧だ。「向かい合って座って1時間一緒に食事した人」はリスクが高いとして監視され、自宅に籠るように指示され、調査官による数時間ごとのチェックを受ける一方で、食料品店で同じ列に並んでいた人には、ただ自ら細心の注意を払い、症状を頻繁に確認するようにと推奨する程度だ。

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構成・編集=石井節子

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