Z世代の「群像」から見える、ポストコロナ時代を再び上向かせる原動力

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「力強い政府に感動」イタリアの大学生


ヨーロッパで初めてロックダウンが課されたイタリアの20代の大学生は悲しみに暮れながらもこのように力強く語った。

「一言で、この状況はとても変だ。友達との時間や大学生活が奪われたほか、ずっと夢だった秋からのスペインでの交換留学も、諦めざるを得なくなった。考えると悲しくて仕方がない。でも時間は待ってくれない、今しかできないことをしようと思う」

「全てが変わってしまった2月末、はじめは若者含めみんな、何が起こっているかわからなかった。イタリアでは多くの若者たちが学校も仕事もないから、家から飛び出して遊んでいた。そしたら大統領から厳しくて強いメッセージが届き、ようやく国民全体が理解した。世の中は今史上最大にクレイジーなんだと。これまで政治になんて誰も関心がなかったし、どちらかというとネガティブな印象だった。しかし、今ではみんなが力強い政府に満足している。彼の力強い言葉と行動に、国民はみんな感動している。コンテ万歳! てね」

非常事態をきっかけに、イタリアでは民間と政府の距離が縮まった印象があるという。若者たち含め、国が一丸となってベストを尽くそうという思いが伝わったのではないだろうか。政治に対しても、「人ごと感」は以前より少なくなったように思えるという。

スウェーデンの大学生「金融危機が一番心配」


ロックダウンが課されていないスウェーデン、10代の大学生にも聞いてみた。他のヨーロッパ諸国の学生と比べ、より現実的な経済的影響を懸念しているようだった。

「心配なのはヘルスケアと失業者、そして金融危機。特に金融危機は一番心配だ。すでに多くの人々が失業しているし、倒産もしている。これからもその数は間違いなく増えるのはみんな予想しているだろう。スウェーデンの若者はみんな現状を知ろうと、ニュースに釘付けだ。でもごく一部、無責任に行動している人もまだ見られる」

スウェーデン新型コロナ『ソフト対策』の実態」の記事でもあったが、スウェーデンは死亡者数急増で世界中から懸念されつつも、独自の対策を練り続けている。母国の先行きを見守るように、老若男女問わず国民全てが最新のニュースに注目しながら、冷静に現状を見極めているようだ。

Z世代のポジティブな原動力が鍵となる


ポストコロナ時代においてZ世代は、その活躍を期待されるだろう。世界のZ世代の発言や行動をウォッチし考察すると、彼ら彼女らが不安を抱えていることには間違いはない。しかし国籍を問わずそれぞれが主体的に考え、環境の変化に向き合い適応する努力をしているように思える。

日本でも就職活動や実習、研修がキャンセル、またはオンラインに切り替わるなど、若者たちは柔軟に対応せざるを得ない状況にいる。「デジタルネイティブ」として情報に囲まれ変化を受け入れながら育った彼ら彼女らの、他の世代では見られないフレキシブルな価値観や考えが、今ここで最大限に発揮されているように思える。

柔軟性、変化に適応する力、そして前向きな原動力はまさにポストコロナ時代に求められる要素ではないだろうか。世界の常識が大きく変わることが余儀なくされる世の中で、Z世代は困難に踏みとどまらず、突破口に向かって前へ進んでいるように思える。不安を煽るような情報が飛び交う中で確実に存在感を発揮しているZ世代のポジティブな群像は、世界を再び上向かせる原動力になるかもしれない。

文=裵麗善/Ryoseon Bae

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