中には景気の悪化に戦々恐々としながら、限られた環境の中で生き延びようと忙しく過ごす人々も見られるが、学生や若者たちはどうだろうか。
緊急事態宣言が発出されて以来、多くの10代、20代たちが積極的に事態の緩和に向けて、外出自粛を守り協力してきた。
若手として社会で活躍するミレニアル世代は、今まさにその実力と体力を必要とされているが、これからの時代を担うZ世代の若者たちは、自粛期間どのようにこの現状を捉えているのだろうか。
Z世代の「今」を映し出すソーシャルメディアを通して、世界のZ世代たちに注目してみた。日常を失ったZ世代のコメントから共通することが見つかった。日本の学生からヨーロッパの学生まで、幅広い声を拾いながら考察していく。
SNS駆使「奨学金返済不要に」「授業料減額を」署名活動
Z世代の存在感はSNSが発達すると共に世界中で増している。3月末、海外留学の奨学金をもらっていた日本人の学生たちが、緊急帰国により給付の一部返金を求められたことに対して、SNS上で返金不要を認めてもらうための署名を募っていた。最近は現役大学生たちが授業料の減額を大学側に要求する署名運動をする姿も話題である。現役の大学生にこの現状について聞いてみた。
「私の大学でも学費を下げてもらうための署名活動が行われています。オンライン授業がちゃんと開講されているではないかなど、批判の声もよく目にしますが、図書館やコンピューターの使用、ゼミの教授との対話が制限されている以上、『施設費』分だけでも下げるのが妥当ではないか? と思っています」
既に多くのメディアで取り上げられている話題であるが、改めて考えてみると、こういった動きはSNSが急速に発達する前では見られなかったのではないだろうか。デジタルネイティブと称されているZ世代であるが、他の世代と少し違った独自の「生き残り方」を時代と共に開拓し続けているように思える。
「他者を救いながら自分の命も守る」医療従事者のたまごの思い
今最も忙しく闘っているであろう医療従事者たち。そのあとを追う医療関係の学生たちに注目したことがあるだろうか。看護師を志している学生の言葉だ。
「医療従事者になる身なので、卒業後自分がその立場になった時にもこの状況は続いてるのかと不安に思う一方で、感染リスクが非常に高い場で働くんだなというのを改めて実感しました。他者の命を救いながら自分の命も守らなければならないことの重みをすごく感じています」
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集団での会食を機に、大学病院で研修医たちの新型コロナの集団感染が発生し、院長が謝罪したことは記憶に新しい。日本の医療業界の常識が変わっていく中で、医療を志すZ世代の学生たちも将来最前線で働く責任感を、今回の事態でより痛感したことが伝わった。