ああ、日本に帰れなくなった「ラトビア取り残され記」

トムスマ・オルタナティブ


長く貧しい国だったと聞いており、物価も家賃もBolt(Uberみたいなもの)の初乗り価格も二度見するほど安いのですが、今日、目の前で私が見ているインフラや文化的豊かさ、教育水準の高さ、スタートアップ企業の勢いなど、この生活レベルとレートのギャップがきわきわのところで成立している不思議があります。そしてどこまで行ってもアールヌーボー、ゴシック建築が続きます。



自治体、個人、民間レベルでのアクションによって高い水準が保たれている傾向が強いとのことです。

ラトビアの人たち

忍耐強く、情動コントロールスキルの高さを誇りにしている人が多いそうで、酒場の小競り合いも口喧嘩まで。暴力事件はほとんどなく、夜中の3時に1人で歩いて大丈夫な治安。(スリは一部のスポットでは発生する)

首都は3カ国語を話す人が多いです。ラトビア語、ロシア語、英語。または、ドイツ語。スペイン語。御老人でも英語が流暢な人に割と会います。また、話せなくても(使ってなくても)言ってること理解できる人が9割。

私はこんな非常事態に残ったアジア人です。現地の人の反応については覚悟をしました。各国での差別の記事をいくつも見ましたので、カラーコンタクトを買おうかとさえマジで考えました。



ところが、実際は皆さん大変優しいのです。公園を歩いているおばあちゃんが、「大丈夫?」と声かけてくださり、子供は手を振って挨拶してくれます。開きっぱのリュックを閉めてくれた人もいました。ドミトリーのスタッフはベーグルとパンを焼いて持ってきてくれて、ホステルのオーナーは想定外の長い滞在を心配して半額にしてくれました。今いるAirbnbのホストは今後どうするのか連絡をくれたり、非常にお世話になっています。やばい、3週間で既に恩をつくりまくりと思ってしまうスティです。ここで感染して迷惑をかけたら洒落にならない。

「いいかい、ここでは月400人程度の人が死んでいく。covidはこの1カ月で5名だよ? 政府が言うから僕たちは従っているよ。だけど補償はない。何が起きているのか見極めなきゃいけない」

今滞在しているホステルのオーナーがそう話していました。彼は本当に厳しすぎる状況のなかにいるにも関わらず、この外国人滞在者の私のことを受け入れてくれ、気遣って安価で泊めてくれたりするという、この優しさにどう言葉を返したら良いものか、わからなくなりました。 


長期滞在をする部屋

手厚いスタートアップ支援

何となく、かつて壁が崩壊した後のベルリンのような匂いを感じています。クリエイターや若手の起業家が集まってきて、これからシーンが盛んになっていくその前夜感が漂っているという匂いです。

実際、ラトビアのスタートアップ支援はとても待遇が良いそうです。でも、まだあまり知られていないとのことで、もし関心ある方がいたら見てみてください。これについてはまた別途シェアしたいと思います。

インターネット、ものすごく早いです。今後の成長展開の可能性を30代のカップルに聞いたら、「そう、いい環境そろっているでしょ、かなり良いと思う、第3次大戦がなければね。来たらまた0からやり直しだけど」と、非常に冷静な回答でした。

在ラトビア日本大使館

封鎖初日に大使館へ行きました。「やってしもうた……」という自責の念と一緒に行きましたので、入口で眉間にピストル形状のものを当てられた時は、あ、撃たれると思いましたが、体温測定器でした。

大使館の方の第一声は、「これからいい季節ですよ〜」でした。緊張が一気に解けました。本当にいろいろと親身になってくださり、すっかり安心を取り戻しました。安心していろいろ話していくうちにスタートアップ支援の存在を教えてくださいました。あれ、もしかして自分が思っているより長丁場になるのかな?

しかし、安心のお花畑から一気に修羅場に舞い戻りました。
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文=トムスマ・オルタナティブ 編集=藤吉雅春 一部写真=SOO

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