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1月末の行われた世界経済フォーラムム(ダボス会議)に、スウェーデンの環境活動家高校生、グレタ・トゥーンベリさんが登場した。地球温暖化問題を大人が真剣に考えて行動をとれ、温暖化ガスの排出を早くゼロにしなければ取り返しのつかないことになる、と訴えた。そして化石燃料への投資や補助金拠出をやめるように提案した。

気候変動に関する政府間パネル 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のレポートを引用しつつ、大気の気温上昇を1.5度以内にするためには、残された時間はない、とも訴えた。グレタさんの発言内容は、IPCCの報告書をわかりやすく訴えているとして評価する声がある一方、その発言が、大人を非難する挑戦的なトーンであることから反発も呼んでいて、彼女の果たす役割には賛否両論があるようだ。

これまでのグレタさんは、大人はすぐに行動しろ、われわれ世代の未来を奪ったと批判する一方、どのようにしろ、という具体的提案がなかった。しかし、今回の提案は、まさにESG投資を先鋭化したものであり、一歩前進だ。

ダボス会議では、気候変動リスクに懐疑的な国、アメリカのムニューシン財務長官は、グレタさんについて、「大学に行って経済学を学んで、その後で私たちに説明できるようになるだろう」と皮肉った。グレタさんは、ただちに、1.5度以内に抑えることの重要性は、経済学を学ばなくても、子供にもわかる、と反論した。

経済学者としては、ムニューシン財務長官がグレタさんに、地球温暖化問題の理解のため、(ほかの学問ではなく)経済学を学べ、と言ってくれたのは、嬉しいものがある。経済学が温暖化問題に貢献してきたのは、公共財問題を解決するための税制・補助金のあり方と、さらに市場を使って資源配分を変えるインセンティブ・メカニズムのあり方を提言したことである。

地球温暖化問題は、大気中の地球温暖化ガスの蓄積レベルを抑制しなくてはいけないのだから、一国が排出を削減しても、他国が排出を続ければ、効果がないことになる。排出を続ける国が、排出をやめた国の努力に「ただ乗り」する、ことになってしまうからだ。

一方、グレタさんが、大学で経済学を学べば、たしかに彼女の提言はより効果的なものになるだろう。化石燃料への投資をやめるように呼び掛けても、補助金を廃止しても、それだけでは効果的な政策ではない。新たな投資家や経営者が化石燃料投資を続ける可能性がある。

化石燃料の使用をやめさせるためには、化石燃料の使用が高価になることが決定的に重要だ。そのためには、化石燃料に課税することが有効だ。それも、税率を世界中で同じにすることで公平性が保たれ、ただ乗りを防ぐことができる。

文=伊藤隆敏

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