5月11日、ニューヨーク証券取引所に提出した声明でヴァージン・グループは、子会社のVieco 10 Limitedが保有するヴァージン・ギャラクティックの株式2500万株を売却すると宣言した。売却は複数回に分けて実施されるという。
ブランソンが創業した英国のヴァージン・アトランティック航空は、パンデミックの発生を受けて莫大な損失に直面し、事業の存続の危機に直面している。
ヴァージン・ギャラクティックの株価は、今年2月の年初来最高値の37ドルから大幅に下落し、現在は約20ドルとなっているが、売却により少なくとも4億ドルを調達することが可能だ。
宇宙旅行の実現を目指すヴァージン・ギャラクティックは、昨年10月にIPOを果たし、現在の時価総額は41億ドルとなっている。同社の昨年の売上はわずか380万ドルで、損失は2億1000万ドルだった。
ロイターの報道によると、ヴァージン・ギャラクティックの最初の宇宙旅行には、レオナルド・ディカプリオやジャスティン・ビーバーらが申し込みを行ったという。
ヴァージンの航空部門であるヴァージン・アトランティック航空の苦境は、様々なメディアで報道されてきた。同社は5月5日、従業員3150人を解雇すると発表し、CEOのシャイ・ワイスは「かつて経験したことのない巨額の損失に直面した」と述べていた。
英国のSky Newsは、ブランソンが投資銀行のフーリハン・ローキーと共に、緊急の支援元探しに乗り出したと伝えている。フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道によると、ブランソンは4月中旬に英国政府に6億2200万ドルの資金の借り入れを申し出たが、政府はこの要請を拒絶したという。
ブランソンは英国政府宛ての公開書簡で、「当社は事業継続のためにあらゆる措置を講じているが、前例の無い危機に直面する中で、政府の支援をぜひとも必要としている。我々は無料のローンを求めている訳ではない。借り受けた資金は返済する」と述べていた。
ブランソンはさらに「この状況が続けば英国の航空業界で数十万人が仕事を失い、移動の手段が失われ、莫大な経済的損失が生じることになる」と述べていた。