性交渉でコロナ感染の可能性、精液内からウイルス検出で

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今年1月から3月にかけて中国で実施された小規模な研究により、新型コロナウイルス感染症を発症中もしくは、既に回復した男性患者の精液からウイルスが検出された。しかし、米国のCDC(疾病予防管理センター)は性交渉によって感染が広まるかどうかは不明だとしている。

この研究は、中国の上海の研究者が38人の新型コロナウイルス感染症を発症した男性を対象に行なったもので、全体の15.8%に相当する6人の精液からウイルスが検出された。研究論文は医療ジャーナルのJAMA Network Openで公開された。

6人のうち4人は急性期の患者で、残りの2人は回復期の患者だった。論文では、ウイルスが性交渉によって広まるかどうかには言及されておらず、どの程度の期間、精液内にウイルスが留まるかについての調査も実施されなかった、さらに、これらの男性がパートナーに感染をうつしたかどうかも不明だ。

これとは別の研究では、精液内のコロナウイルスは一定期間を経た後に消滅するとのデータが示された。中国の武漢で中国と米国の研究者が34人の男性を対象に行なった調査では、精液内のウイルスは、患者が陽性と診断されてから平均で31日後には消滅していた。この研究の論文はFertility and Sterility journalで公開された。

ロサンゼルタイムズの記事によると、武漢の研究に参加したユタ大学の教授は、上海の研究者が調査対象とした患者が、より症状の重い人々であったため、この違いが生まれたのではないかとコメントした。

カリフォルニア大学ロサンゼル校の疫学教授のAnne Rimoin博士はCNNの取材に対し、「新型コロナウイルスについては、まだ不明な点が多い。体調が思わしくない人々は禁欲する、もしくは安全なセックスを心がけるべきだ」と述べた。

専門家らは新型コロナウイルスの主な感染経路が、会話やキスなどの濃厚接触による飛沫感染であると述べている。しかし、ウイルスが空気中をミストのように浮遊するエアロゾル感染や、糞便を経由した感染が起こり得る可能性も指摘されている。

研究が進むにつれて、その他の経路での感染が指摘される可能性もある。精液以外にも、CDCは吐瀉物や尿、母乳を経由した感染が起こるかどうかについて、現時点ではまだ分からないと述べている。

編集=上田裕資

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