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ポスト・コロナのニューヨークから


ホワイトカラーの仕事はネットで回せる


日本でも同じ事情だろうが、今回の外出禁止令で、通勤の苦痛、通勤時間の長さ、車で通勤する無駄などに人々が気づき出した。ワークスタイルの見直しは劇的に進むはずである。マンハッタンの一等地に広いオフィスを構えることは、いままでは一種のステータスでもあったが、これからは郊外への移転も加速するだろう。



また、大手の金融、証券取引、保険、会計、事務など、特にホワイトカラーと言われる人たちの経済活動が、実はネットで十分に回していけることもわかってしまった。いままで海面下に隠れていた岩が、大きな引き潮とともに露出したかのように、いろいろなことが、実は不要だったと「バレてしまった」とも言える。

経済の合理性、効率の追求から鑑みても、コスト削減になるなら「職住分離」ではなく、生活の質を豊かにする意味でも「職住同一」にもなってくる。もちろん職種にもよるとは思うが、「わが社は従業員の生活の質を高めながら仕事をしてもらうために、週の半分は自宅からの勤務で構いません」という会社に、特に若い世代は惹かれていくことだろう。

すると、職場での人間関係から解放されて、ストレスが減ることもあるだろう。通勤時間も減り、家族との時間をより多くとり、生活の豊かさを追求しつつ、エコを意識した生活スタイルに移行する──今回の危機を脱しても、以前の姿に戻るとは考えにくく、ポスト・コロナの社会の在り方を、人々は模索していくことになる。

期せずして、新型コロナウイルスによる経済活動の休止のお蔭で、地球上の大気や海が浄化されたというような報告を多く聞くようになった。グローバル経済と称して、いかにこれまで、人間の経済活動が地球環境を汚染していたかも、これで明らかになってしまった。

国連の提示した、地球環境への達成目標であるSDGsに向けても、ポスト・コロナの世界では、人々の経済活動や日常生活は変容するのだろうか。それとも、喉元過ぎれば熱さを忘れる、となるのだろうか。

この日曜日、5月10日の「Mother’s Day(母の日)」を前に、こちらでは珍しく雪が舞った。急な冷え込みで、果たして街頭でマスクをするニューヨーカーは増えるかどうか、少し気になっている。

文=高橋愛一郎 写真=Getty Images

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