中学生が東大教授に直撃「ブロックチェーンは世界共通インフラになるか」

(写真左から)渋谷教育学園渋谷中学校3年生(取材当時)坂本 創さん、吉本誠之輔さん、上島玲香さん、東京大学生産技術研究所 松浦幹太教授、清水美那さん


「量子計算機を凌駕」する技術を


坂本:これからはどんな技術が一番必要になると思いますか?

松浦:将来的には、人類が普通に宇宙に住むようになっても使えるセキュリティ技術、それは必要になるでしょうね。

今、われわれはみんな地球に住んでいるので、いよいよとなれば「リアルな空間で物理的なやりとりができる」ことが大前提になっていますよね。たとえば、何らかの理由で相手を罰したければ、直接行ってこらしめることもできる。

ところが宇宙に住むようになったら、何光年も離れたところにも人がいて、つながっていて、そういう時にも通用する技術は何だろうか、というようなことを考えたりしますね。

それからもう一つあります。──皆さん、量子計算機という言葉は聞いたことがありますか?

発明はすでにされていて、お金がかかるので実用化されていないだけなんですが、実は、今使われている暗号技術や暗号アルゴリズムのほとんどは、量子計算機が普及したらすぐに破られて使えなくなる、という見方があります。

なので、そういった時代になっても使い続けられるブロックチェーンを、きっちり準備する必要があると考えています。

ではもし、今すぐ量子計算機が普及したら、ブロックチェーンやビットコインみたいな通貨は全部ダメになりますか? という質問をよく受けますが、それに対する答えはイエス&ノー。2つの側面があるんです。

というのも、すでに持っているお金、財布に入っているお金は大丈夫なんです。なぜかというとタイムスタンプだから。そういう意味では完全に破綻するわけではない。しかし、ある瞬間からは使えなくなる。

そこをどうやって突破するのか、という研究はやっておくべきだと思うんですね。候補となる技術はすでに色々あるんですけれど、まだまだ初期の研究段階ですね。

そういう新しい技術に挑戦したかったら、ぜひ皆さん、数学を一生懸命勉強したり、情報学関係の本を読んだりすると、よいかもしれません。


前編はこちら:「ブロックチェーン」とはそもそも何か? 中学生が東大の専門家に質問したら

構成・文=石井節子 写真=帆足宗洋

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