中学生が東大教授に直撃「ブロックチェーンは世界共通インフラになるか」

(写真左から)渋谷教育学園渋谷中学校3年生(取材当時)坂本 創さん、吉本誠之輔さん、上島玲香さん、東京大学生産技術研究所 松浦幹太教授、清水美那さん


インターネットの「ピア」なノウハウを、ブロックチェーンにも


上島:ブロックチェーンの技術が、インターネットくらい普及することはあるんでしょうか? ブロックチェーンアプリがすべてのPCに装備される日が来るなど? 

松浦:アプリがインストールされているかは別として、われわれには、それくらいの普及を目指す気持ちもあります。実はわれわれの研究部と、「インターネットのパイオニア」と呼ばれる慶応義塾大学の村井純先生との合同で、ブロックチェーンの公開研究をする活動を立ち上げました。インターネットの専門家とセキュリティの専門家とが最初から並び立つ形で活動を作っていくことが重要で、それは社会に対するメッセージとしても発信していくべきと思っています。

吉本:その考え自体は、他の技術とか革新的な技術開発においても共通しますか?



松浦:インターネットの専門家に負うところは非常に大きいと僕は思っています。理由は2つあります。

ひとつは、さっき僕はブロックチェーンはセキュリティ技術の集合体だと言いましたが、今の考え方でブロックチェーンを実現するためには、「ピアツーピア・コンピューティング」っていうシステムのノウハウが必要だと考えています。

「ピア」とは「それぞれのもの」のことで、ネットワークに参加している計算機が、その末端の計算機同士でも色んなやり取りができるシステムのこと。常に1台の「親玉」に答えを返していくということもできるけれど、直接ピア同士もやり取りできるようにするシステムです。

このピアツーピアの技術的ノウハウと、さっき言った「共通のものを作り上げていく」というのは、政治的にもすごく難しいことなんですよ。だって、なにせ狭い所で自分たちの好きなようにやっていた方が、軋轢が起きない。

しかし、それが成功した類まれな例がインターネットなんです。だからそのインターネットのコミュニティが持っているものごとの進め方自体のノウハウ、フィロソフィー、考え方、これがものすごく大事なのです。

坂本:じゃあブロックチェーンもそんな感じに進められたらな、と考えていらっしゃる。

松浦:そうですね。ブロックチェーンっていう名前自体が残るかどうかもわからないですけどね。より一般的な言い方をすると「トラスト基盤」というんですが。
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構成・文=石井節子 写真=帆足宗洋

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