感染者が100人に満たないうちから進められた早期の安全対策により、ハワイでは着実に感染者数が減少していき、現在では少しずつ現地ビジネスの再開も認められている。
ただし観光業に依存するこの地でどのタイミングから観光客を受け入れることになるのか、今後の懸念事項は少なくない。外出禁止令が発令されてからのハワイの動きと今後の課題について、ハワイ在住の筆者がお伝えする。
外出禁止令後、さらに厳しくなった安全対策
ハワイで新型コロナウイルスの初の感染者が確認されたのは、3月6日のこと。それ以来、徐々に感染者数が増え始め、外出禁止令や州外からの訪問者に14日間の自己隔離が義務付けられてからも、1日あたりの新規感染者は数十人の状態が続いていた。
しかし4月中旬頃になると新規感染者数に減少が見られるようになり、1日あたりの新規感染者数はついに1桁まで減少していった。5月10日時点で、ハワイの感染者数は632人、死者は17人、回復した人は561人だ。また無料で住民にウイルス検査を実施しており、これまでに19000人以上の住民が検査を受けている。
ここまで感染者の抑え込みに成功したのは、ハワイ州政府が早い段階で講じた安全措置に他ならないだろう。この外出禁止令では、違反者に5000ドル(約55万円)の罰金または1年以下の禁固刑、または両方が科される。外出禁止令が発令されてから4月上旬の10日間ほどで、ホノルル警察では4660人に警告を出し、353人に違反切符を発行。住民に対して不要不急の外出禁止を徹底させた。
そして4月にはさらに厳しい安全対策も追加された。例えば、ハワイ州内であっても諸島間を移動したすべての人にも14日間の自己隔離が義務付けられ、家族で外出したりホームパーティを楽しんだりするイースターの週末には、ホノルル市長から夜間の外出禁止令が発令された。さらに4月中旬からは、公共の場に外出する際はマスクの着用が義務付けられ、これに違反すると外出禁止令と同様に罰金の対象となる。
マウイ島の大型病院やハワイ島のマクドナルドなどでクラスターが発生し、それぞれ30人近くの感染者を出す事態となったが、これらの厳しい規制によって、感染者が爆発的に増大することなく抑え込むことができたと言える。