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Sundry Photography / Shutterstock.com

完全自動運転のロボットタクシー向けの車両を開発する、シリコンバレー本拠の「ズークス(Zoox)」が身売りを模索中の模様だ。

ニュースサイトThe Informationの報道によると同社は投資銀行カタリストと組んで、新たな出資元を探しているという。ズークスは直近の資金調達で27億ドル(約2900億円)の評価を得ており、累計10億ドルを調達していた。

ズークスは筆者の先日の取材に対し、新たな資金調達を計画中であると話したが、評価額は前回の水準を下回ることになりそうだと述べていた。

カリフォルニア州サンマテオ郡本拠のズークスは、オーストラリア出身のアーティストで起業家のティム・ケントリークレイや、コンピュータ科学者のジェシー・レビンソンらによって2014年に設立された。同社の特徴は、既存の自動車に自動運転技術を組み込むのではなく、完全なロボットカーを独自に開発するという野心的目標を掲げている点だった。

自動運転テクノロジーを開発するウェイモ(アルファベット)とクルーズ(ゼネラルモーターズ)らは、基本的に、既存の車両の設計を修整することによって自動運転に必要なセンサーや演算能力を組み込もうとしている。完全な「ロボットカー」をいちから設計しているのは、恐らくズークスだけだ。

だからこそズークスは27億ドルという、競合を大幅に上回る企業価値を得ることができた。競合企業らがまず10万台の既存の自動車に自動運転技術を搭載することを目指すのに対し、ズークスは1000万台の自動運転車を独自に開発することを目指していた。

しかし、新たな車両の開発には莫大な資金が必要になる。ズークスの事業プランは、伝統的なOEMメーカーの協賛を得ることは難しかった。さらに追い打ちをかけたのが、新型コロナウイルスの感染拡大だ。自動運転分野のスタートアップは資金調達に苦戦しており、ズークスも身売りを検討することになった。

同社の新たな出資元としては、アマゾンや中国のEコマース大手のJD.comも想定できるだろう。しかし、課題となるのはズークスがロジスティクスではなく、ロボットタクシーにフォーカスした企業であることだ。

同社は2018年に共同創業者でCEOを務めたケントリークレイを会社から追放し、2019年2月に新CEOに元インテルのAicha Evansを迎え入れていた。ズークスの車両のデザインは、前後の区別を持たないユニークなもので、ハンドルやアクセルペダルすら存在せず、ダッシュボードの計器も無い。

同社が自動車業界に新たなイノベーションをもたらすことは確実だ。しかし、このカテゴリが様々な不確定要素に満ちている中で、ズークスの未来を正確に予測することは困難だ。

編集=上田裕資

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