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2020.05.13

フェラーリが工場再始動。ウイルス学者監修の「感染モニタリングアプリ」も

Getty Images

フェラーリのマラネッロの工場にモーター音が再び轟くことになる。従業員の就労環境の安全性に万全を期し、フェラーリ本社所在地のあるエミリア・ロマーニャ州の協力のもと、プロジェクト「バック・オン・トラック」が始動するのだ。

プロジェクトのメンバーは微生物・ウイルス学者ロベルト・ブリオーニ教授をはじめとする専門家らで構成される。


フェラーリ SF90ストラダーレ(Courtesy Ferrari)

「バック・オン・トラック」は、文字通り“トラックに戻ろう”という意味を持ち、今後直面する複数のフェーズに備えたプロジェクトで、そこには、感染追跡機能と、身体と心の健康サポート機能という、ダブル機能のアプリを利用することも予定されている。

公式文書によれば、「これらの予防措置によって、フェラーリは我々にとって最大の資源である従業員たちを守り、できる限り安全で、かつ落ち着いた労働環境に戻れるよう支援していきます」と発表されている。

血液検査で従業員をスクリーニング


マラネッロ工場とモデナ工場の再開という第一フェーズは、当局によって設定されたタイミングと規定に従い、3月14日に発表された“労働環境における新型コロナウイルス感染拡大防止措置のプロトコル”に最大の注意を払ったうえで、専門家らのサポートのもと、フェラーリでの労働環境に合わせた独自のさらなる対策強化を図っている。

続くフェーズでは、フェラーリの従業員に対し、血液検査によるスクリーニングを行い、感染確認と健康状態の管理を実施。このスクリーニングによって、検査結果をもとに企業全体の健康状態を把握するための初期データが得られることになる。

また、このプロジェクトは、いわゆる「フェラーリ・コミュニティ」全体に適用される。つまり、従業員と生活を共にする家族やフェラーリの納入業者のスタッフもカバーされる。

全従業員に「感染モニタリングアプリ」支給


最終フェーズでは従業員にアプリが支給され、これによって感染の症状の有無をモニタリングしながら、医師のサポートが受けられる。

プロジェクトが対象とするすべての人たちの健康維持には、このアプリの「他者との接触追跡機能」が役立つ。外部からも協力を得て実現したアプリは個々のプライバシーも尊重した仕様となっており、ユーザーに陽性反応が出た場合のみ、アプリによって接触者が割り出される。

さらにフェラーリは従業員に対して、電話対応や自宅への訪問対応による、メンタル面も含めた健康維持のためのサポートを行う。感染が発生した場合、感染者には特別な保険が適用されるうえ、自主隔離のための住居が提供され、医師、看護師による住居内での医療サポート(薬、パルスオキシメーター、緊急時の酸素吸入も含まれる)も用意されている。

フェラーリは、このプロジェクトの結果をエミリア・ロマーニャ州と共有し、労働者の健康を守るため、最先端の知見を地域コミュニティで活用してもらう予定としている。

なお同社は先ごろ、「フェラーリのロゴ入り」人工呼吸器用バルブと防護マスク部品生産を発表したことでも話題だ。

文=Forbes Italia編集部 翻訳=大村紘代 編集=石井節子

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