ビジネス

2020.05.11

アジア最後のフロンティア、ミャンマーのスタートアップエコシステムと可能性

Visual Intermezzo / Shutterstock.com


フィンテック分野では、Thisaworksが、ミャンマーで急激に成長しているマイクロファイナンス関連のシステムや信用情報を提供。また、既存の銀行システムに頼らないモバイルマネーが爆発的に普及しているこの国で、Bardsでは各モバイルマネー間の資金送金を可能にするシステムを提供している。

ヘルスケア医療サービスの乏しさから、ヘルスケアスタートアップの注目度は高く、遠隔医療に関する企業も多い。クリニックの電子カルテのプラットフォームを提供するKlenicやオンライン診察アプリを提供するMyan Careがある。

また、軍事政権時代に教育活動が軽視されてきたことにより、公教育の水準が極めて低いミャンマーにおいては、2015年以降、家庭教師と家庭をマッチングさせるプラットフォームを提供するMMTutorや、ビジネスや語学の学校と生徒をマッチングさせるMyan Learnなどテック系マッチングサービスが伸びている。

外資系VCが幅広く支援


現在ミャンマーには、Seed Myanmr、Trust Venture Partners、Nest Tech、EMEという4社の活発なVCがある。

Seed Myanmarは、シンガポール系のファンドで、ミャンマーで最も早くVC事業を開始した。Trust Venture Partnersは日本人の後藤氏が代表を務めるVCである。同社は財務アドバイザリーや会計サービスを提供しており、投資先の会計を整備することや外資系の企業との提携を進めることで特徴を出している。Nest Techはベトナム系のVCで、投資先企業のテック面の支援を行うことを強みにしている。

EME(Emerging Markets Entrepreneurs)のインベストメントディレクターを務めるHitoshi Ikeya氏は、ミャンマーで育ち、米国コーネル大学で経済を学んだ後、東京のゴールドマンサックスなどに勤務。2012年にミャンマーに帰国し、UMJ Ikeya Investmentを設立。ネット、トラベル事業へ投資を開始し、デジタルコンテントプラットフォームのBITにも投資し成功している。

Ikeya氏は、「EMEには、ミャンマーの投資事業に関して20年近いキャリアを持つメンバーが多く、国のスタートアップシーンで一番知識のあるラウゥーン氏もいる。彼らがマーケティング、ユーザー獲得、ファイナンシャルモデリング作成、ファンドレイズのピッチデック作りなど幅広い支援を行う。教育の改善やネット環境の発展など、投資先への支援が社会的インパクトに繋がることに誇りを持っている」と言う。
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文=森若 幸次郎

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