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2020.05.11

アジア最後のフロンティア、ミャンマーのスタートアップエコシステムと可能性

Visual Intermezzo / Shutterstock.com

およそ7年前、「世界をより良くする為にはリーダーシップとイノベーションが必要だ」と、ハーバードビジネススクールのPLD(Program for Leadership Development)で学んだ頃に、後藤信介氏と知り合った。

彼は、ミャンマーにてヤンゴン証券取引所の設立に携わり、独立。ファイナンシャルアドバイザリーファーム Trust Venture Partnersを設立し、今では、ベンチャーキャピタル(VC)、ビジネススクールなどを含む計11社のグループ企業のCEOとして活躍している。

彼との再会をきっかけに、ミャンマーのスタートアップエコシステムについて興味が湧き、多くの関係者に話を聞いた。すると、プラベート・エクイティがリードする現状や課題など、未開の地の事情が見えてきた。

スタートアップの潮流


ミャンマーのスタートアップは2011年に民政移管が果たされたことを起源としている。その後、外資の進出が加速し、新たなスタートアップは2014年頃から本格的に活発化した。

後藤氏は、「ミャンマーにおけるスタートアップの90%以上がヤンゴンに集中し、テック系スタートアップが増え始めている。Trust Venture Partnersでは、Yangon Capital PartnersというVCを通じて、今後3年間でアーリーステージのスタートアップ30社ほどに投資を予定している」と語る。

代表的なアクセラレーターとしては、スイスに本社を置くSeedstarsが、ミャンマーでもコーワーキングスペース兼アクセラレーターSeedspaceを運営。アウンサウンスーチー氏率いる国民民主連盟とパートナーシップを結び、Yangon Innovation Centerをオープンさせた。

また、2014年に設立されたテクノロジーシードアクセラレーターのPandeeyarは、グーグルやフェイスブックなどからも協力を得て、インキュベーションセンター運営と6カ月間のアクセラレーションプログラムを行い、これまで70社以上のスタートアップを支援している。

スタートアップで伸びている領域


ミャンマーでは、利便性の高いECアプリやフィンテックのスタートアップの数が増加している。また、医療・教育水準の低さを補うためのスタートアップも目立つ。その中から、いくつかのスタートアップを紹介したい。

「Ezay」は、地方の小売店と卸売業者を繋ぐECプラットフォーム。CEOのKyaw Min Swe氏の姉が小売店を経営しており、遠方まで仕入れに行く大変さを見て育ったため、仕入先からオンラインで購入し、翌日には店まで配達されるBtoBサービスを思いついたそうだ。

Swe氏にミャンマーのスタートアップエコシステムについて聞くと、「未成熟だが、海外投資家による直接投資としてミャンマーは注目され始めている。政府が海外投資家にとって良い政策を作ろうとしていること、農村エリアでもネット接続できるようになりデジタルネイティブが増えることなどからも、盛り上がりが期待できる」と語った。
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文=森若 幸次郎

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