ビジネス

2020.05.11

生き残った先に「光」がある。飲食店の活路を切り拓く、応援購入の可能性

今年4月にオープンした「τρεῖς (トレイス)」


これにより、飲食店は応援購入金額に加えて、サポーターから届く応援コメントに励まされるほか、プロジェクトを通してサポーターと関係を築き、将来的にお店の常連客になってくれる人たちと出会えることが期待できる。

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マクアケ共同創業者・取締役の坊垣佳奈

「活用の割合としては開業支援が多いです。飲食店はどうしても初期投資がかかりますし、回収するのにも時間がかかってしまう。そこが飲食店経営におけるハードルになっているのですが、Makuakeを活用すれば開業資金を集めることができるほか、初期にお客さんも獲得でき、PRに繋げることができる。そういった点にメリットを感じ、飲食店はMakuakeを活用するみたいです」(坊垣)

実際、Makuakeを活用して店舗を立ち上げた前田は、こう語る。

「これは5つの飲食店を経営している私の肌感覚ですが、店舗の認知、お客さんの定着まで約1〜2年ほどかかる。今回オープンした『トレイス』は“会員制の高級店”ということで、認知に時間がかかると思い、宣伝の意味も込めて開業資金を集めるためにMakuakeを使いました。ほとんどの飲食店は初期投資が嵩み、運転資金が足らなくなり1年以内で潰れてしまう。こういった飲食店を経営する際の構造上の問題点を解消する仕組みとしてクラウドファンディングはいいな、と思います」(前田)

始まりから6年、最近では、「銀座 鮨 とかみ」が3日間限りの若手職人握りイベント開催に使ったり、「Mr.CHEESECAKE」が季節限定フレーバーの開発に使ったりするなど、活用の幅も広がりを見せている。

「飲食業界は、それぞれのお店にブランドイメージがあり、そのイメージを維持しながらブランドの良さを伝えていくツールは意外とないんです。ただ、Makuakeはページ自体が実行者のもので好きなように表現してもらってもいいので、お店のイメージを崩さずにプロモーションできるのもメリットかなと思います。最近は会員権だけでなく、イベントの実施などお店の状況に合わせてリターンの設計もできるので、活用の幅も広がっています」(坊垣)
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文=新國翔大 人物写真=小田駿一

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