ビジネス

2020.05.11

生き残った先に「光」がある。飲食店の活路を切り拓く、応援購入の可能性

今年4月にオープンした「τρεῖς (トレイス)」

「この状況は飲食店にとってかなり厳しい状況ですね。私の周りにいる飲食店経営者の多くは、『2カ月先しか持たない』と言っているほど……。状況は深刻です」

緊急事態宣言の延長が発令された5月初旬──電話での取材に対し、コロナ禍で苦境に立たされる飲食店の状況について、こう語るのは東京都、長野県、群馬県で複数の飲食店を経営しているSfida Fabbrica代表の前田和彦だ。

今年の3月、彼は有名イタリアンレストラン「Bon.nu(ボニュ)でシェフを務めた経験を持つ河島英明たちと共に、完全会員制イノベーティブフュージョン料理のレストラン「τρεῖς (トレイス)」を広尾にオープンする取り組みをスタートさせた。

アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake(マクアケ)」で会員募集のプロジェクトを開始したところ、応援購入が相次ぎ、瞬く間に目標金額を達成、現在2000万円を超える応援購入を集めている。4月には店舗をオープン。順調なスタートを切ったかに思えたが、緊急事態宣言の発令により、当初の想定とは違った滑り出しとなってしまった。

都内の飲食店が50%なくなるかもしれない


「仮に新型コロナウイルスの感染が6月末、7月末で少し落ち着いたとしても、3割の飲食店は潰れてしまうと思います。また、その後に借り入れた分の返済があるので、さらに2割の飲食店が廃業を余儀なくされる。来年には都内に14万店舗ある飲食店が7万店舗になっているでしょう。それくらい飲食業界を取り巻く状況はひどいです」(前田)

中には、テイクアウトやデリバリー、ECでの販売に活路を見出し、新たな取り組みを始める飲食店も少しずつ増えてきている。トレイスも「緊急事態宣言」を受け「営業時間自粛」または「休業」という選択肢の中で、テイクアウトやデリバリーを通した営業を選択し、挑戦をしている。

「もちろん感染を広げないために“休業”という選択を取ることもとても大事ですが、その中で会社を1カ月休み、騒動が明けた際に市場の流れに付いていけず会社の成長が止まり、出遅れてしまう。そんな危機感からテイクアウトやデリバリーを始めました」(前田)

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文=新國翔大 人物写真=小田駿一

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