キャリア・教育

2020.05.15 19:00

在宅ワークや海外転職も。定年退職後に悩むシニアのキャリアの生かし方

定年退職後、60代からのキャリアの切り開き方を模索したい。 (Shutterstock)

日本では定年年齢は一般的には60歳だが、年金支給の65歳までには5年間あることから、再雇用、再就職を希望する人が多い。しかし、定年後は主戦力からはずれた後方支援が多く、異業種に配置されることもよくある。

60代になると雇用の機会が激減し、キャリアがあり、やる気があってもそれを活かされないことが多い。

筆者は日本の企業で働いた後、上海へ渡り現地に住み中国の大学で約8年間日本語を教えた経験をもつ。実は中国では日本のビジネスマンは技術力が高く、優秀な人が多い、と評価されており、60歳を過ぎたシニアにも引きがあった。仕事ができて働く意欲を持ちながらも、日本国内の厳しい就職事情の中で悩むシニアの心情を鑑み、そのキャリアと豊富な知識を活かせる方法を探ってみた。

再雇用後の給料は半減


定年を迎えても「家のローンがまだ残っている」、「子供がまだ学生で学費を仕送りしなければならない」などシニアはさまざまな経済的課題を抱えている。さらに、年金を受け取るまでの5年間をどう凌いでいくか、といった問題で頭を抱えている家庭も多い。

このような中、日本政府は企業に対して、高年齢者雇用安定法によって定年を迎えた社員が65歳まで働ける環境づくりを義務づけた。これは、定年を65歳未満に定めている企業に対して、65歳までの雇用を確保するため、1. 定年年齢の引き上げ、2. 継続雇用の導入、3. 定年制の廃止の中からいずれかの措置を導入することを義務づけるもの。

現在、ほとんどの企業は「継続雇用制度」を選択している。継続雇用とは社員に一旦、辞めてもらった後、新たに嘱託社員やパートタイマーという雇用形態で労働契約を結ぶものだ。

新契約では現役時代に比べて勤務日数や勤務時間を減らすこともあり、社員の給料は現役時代に比べて50%~60%にダウンする。グループ会社や子会社での再雇用も認められているので、その場合の減額率はさらに大きくなる。

「70歳までの就業機会の確保を図る」という安倍首相発言もかつて注目を浴びたが、厚生労働省は、高齢者の希望次第で70歳まで働くことができるように2021年4月から「企業の努力義務」とすることを決定した。高齢者が働きやすい環境づくりは今後さらに進むだろう。

企業が提示するシニア向き職種


一方、定年前とは異なる企業に入社するのが「転職」、「再就職」だ。転職先を探すのによく利用されるのが人材派遣会社のサイトだが、60歳以降の求人状況は非常に厳しい。実際にいくつかのサイトにアクセスしてみた。
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文=廣田壽子

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