美の多様性を読み解くマーケターの視点


メンタルウェルネスをテーマにした美容ブランド「Rare Beauty」のローンチを2月に発表したアーティストのセレーナ・ゴメスは、同ブランドのPRムービーで「私は完璧な美しさを目指すのをやめた。きれいになる、唯一無二の存在(Rare)になるには、まず自分が心地よいことが大切」というブランドのメッセージを放ち、美容におけるメンタルヘルスの重要性を発信している。


同ブランドのローンチは今夏だが、この不安な時期に、気持ちを明るくするコツや考え方などを積極的に発信。「#rarereminder」というハッシュタグでポジティブなメッセージをシェアすると、ユーザーも同様のタグで美容やライフスタイルにおける前向きなメッセージをシェアし大きな反響を呼んでいる。

メイクアップやスキンケアは、見た目を良くすることだけでなく、メンタルヘルスにも影響することを伝え、不安を抱えるユーザーの気持ちに寄り添いながら、ブランドが伝えたい美の価値観を共有するコミュニケーションだ。

ポジティブな心の有り様、自分自身を大切にすることは、今のような不透明な時代にこそ必要なマインドだ。インディーブランドを中心に訴求される「ビューティーxメンタルヘルス」は、コロナショック以降も注目され続けるにちがいない。

コロナショックで変わる美容への意識


こうしたブランドのコミュニケーション施策を見ていると、コロナショックで余儀なくされた外出自粛や在宅ワークといったライフスタイルは、ウェルネスビジネスのサービスや商品に新たな価値観を生み出したようにも考えられる。

在宅ワークで他人の目線を気にすることなく過ごす中で、すっぴんで過ごす人も多いと聞くが、一方で、毎日のルーティンであるスキンケアとメイクアップをすることで気持ちが落ち着くという声も聞く。不安やストレスを抱える日々の中で、スキンケアやメイクアップを通じてキレイになることは、自身の気持ちを明るくし、メンタルヘルスに良い影響を与えていると改めて気付いた人も多いのではないだろうか。

美の多様性を読み解く
ポストコロナは美容への新たな意識はさらに深化していくだろう(Shutterstock)

「おしゃれやメイクは自分のため」という価値観が根付いてはきているものの、一方で他人の目線を気にせずにはいられない場面も多い。ただ、コロナショックを経て、スキンケアやメイクアップは、コンプレックスを隠すために「しなければならない」「時短で済ませたい」ことから、「リラックスする時間」「自分を大切にする時間」になっていくだろう。こうした意識がますます浸透していくかもしれない。

このような背景から、一人ひとりが持つ美しさを称える強いコンセプトを発信するビューティブランドや、使う人の気分を上げたり、リラックスさせてくれるようなスキンケアやメイクアップアイテムが、これまで以上に求められるのではないかと予想される。

文=田辺敦子

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