巣ごもりで変わる「美容」意識。コロナ禍のブランドコミュニケーションに注目

コロナショックにおいても、人々の美意識は変化している(Shutterstock)

世界的なパンデミックで社会や消費のあり方が変わり、あらゆる業界で価値の転換を迫られる中、多くの企業が消費者のニーズに応える形で趣向をこらしたコミュニケーション施策を打ち出している。

特に高まる健康意識とともに拡大し続けているウェルネス業界は、こうした危機的状況において刻々と変化する人々のニーズに応えなければならないだろう。そこで今回は、ここ数年話題の多いウェルネス業界のDtoCブランドを中心に、世界で展開されているコミュニケーション施策をご紹介したい。

心身ともに健康に導くコンテンツを発信


多くの人々が外出自粛や在宅勤務を余儀なくされ、未知のウイルスへの恐怖心に加え、自粛が続く不安によるストレスを抱える中、SNSでは「#selfcare」というハッシュタグで、美容やワークアウトなどでセルフケアをするストーリーをシェアする人も増えている。それに伴い、心身の健やかさと美しさを謳うインナービューティ製品をはじめウェルネスやマインドフルネスに関するサービスやコンテンツも需要が高まっているようだ。

マットレスを主力製品とする米国のEコマースベンチャー「Casper」は、寝具としてマットレスを売るのではなく、「眠りを売る」というコミュニケーション戦略でSNSを中心にマーケティングを展開し、昨年2019年にDtoCブランドとしてはじめて上場した企業だが、コロナショックでは、インスタグラムで「SNOOZE FEST」と題して、「不安な日々の中で良質な睡眠をとる方法」、「ベッドタイムのコンサート」、「寝る前の瞑想」といったウェルネスに関連したコンテンツを積極的に発信。睡眠のブランドとして、不安やストレスを抱えるユーザーのニーズに応えている。


製品をただ売るのではなく、おしゃれなパッケージで製品を届けるなど睡眠に関するライフスタイルのすべてを提案することでファンを増やしていった同社らしいコミュニケーションと言える。危機的状況においても、ユーザーの共感を得るコンテンツで、より一層ファンを増やしていくマーケティングの成功例と言えるだろう。
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文=田辺敦子

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