まるでタイムマシン。新しいテスラ・モデルXとはどんなクルマ?

テスラ・モデルX

2025年のEVはどうなっているのか。先月、テスラ・モデルXに乗って、近未来にタイムスリップしてきた。そう、タイムマシンがあるとしたら、このモデルXが一番近いと言えるだろう。この非常にユニークなクルマはどう考えても、現在のクルマ社会からかけ離れている気がする。

自動運転の機能はもちろん、特徴的な翼のようなドア、「対生物兵器」モード、異次元の速さ、アッと言わせる巨大なタッチスクリーン、宇宙船みたいな室内、世界一優れたテスラ専用の急速充電器ネットワークなど、どれを取り上げても驚くだろう。さらに、これらが全てこの1台に搭載されていると知れば、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のドックとマーティ君の仕業だと見なしてもおかしくない。



実は、5年前にもテスラ初のSUVである初代モデルXに乗ったのだが、その時も未来的な味が強かった。今回は試乗したのは、EVパワートレイン効率やエアサスペンションなどが強化された改良版のロングレンジだ。まず驚くのは、航続距離が507kmまで伸びていること。ついに500kmを突破し、量産型EVの中で最も航続距離の長いクルマの一つと言える。

さらに驚くことに、モデルXは常にインターネットと繋がっており、今年5月に新しいソフトウェアをダウンロードすることによって、航続距離は20、30kmはさらに伸びるとテスラが言う。

ブレーキ踏まずに自動で停車してくれるホールド機能


2400kg以上とかなり車重が重いにもかかわらず、4WDで2モーターを採用するモデルXは十分速い。今回乗ったロングレンジ仕様はおよそ550psを発揮する4輪駆動だからこそ、1速のA/Tを通じて瞬時に4つのタイヤにパワーを伝達するので、0-100km/hの加速は4.6秒とスーパーカー並みだ。

異次元の加速性で、いつアクセルを踏んでも、瞬間的に加速する。パワートレーンの効率向上でそれはさらにスムーズになり、また今回初めてホールド機能がついた。つまり、 ACC(アクティブクルーズコントロール)を使っていると、前方の交通状況によって、ブレーキを踏まなくても車両が自動的に減速して完全に止まってくれる。



また、モデルXではバッテリー、モーター、インバーターなどのハードウェアがフロアより低い位置に配置されているため、その低重心のおかげで、コーナーでのボディロールを抑えて、安定した姿勢を保つ。さらに、ステアリング感覚も向上していて、路面からのフィードバックがさらに良くなり、ステアリングホイールの重さはちょうど良いセッティングになっている。

もともと、ロールを抑えるために改良されたエア・サスペンションは硬めの設定だけど、街乗りでは気持ちの良いしなやかな乗り心地だ。ブレーキは普段の走りでは充分だろうけど、重い車重に対して、僕はもう少し制動力が欲しいと感じた。静粛性が素晴らしいからこそ、風切り音やタイヤノイズなどの細かい音が聞こえてくる。
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文=ピーター・ライオン

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