新型コロナ感染の子供にみられる「川崎病」のような症状とは

Monkey Business Images / Shutterstock.com

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状として後から確認されたものの中には、嗅覚と味覚の異常がある。奇妙にも思えたこれらの症状に続いて報告され始めたのは、「コロナのつま先」と呼ばれるようになった凍瘡(しもやけ)のような症状と、特異な発疹だ。

その後、さらに新たに確認されたのが、感染した子供たちにみられる発疹を伴う「川崎病」のような症状だ。それらの多くは、血管炎が原因と考えられている。

COVID-19に関する謎の一つとされているのは、子供は成人に比べ、重症化しないケースが多いということだ。感染した子供の大半が、無症状かごく軽症で、死亡例はわずかだ。

川崎病の原因は、いまだ明らかにされていない。だが、血管の炎症はウイルスへの感染によって引き起こされるものだと考えられている。主な症状は、発熱、赤目(結膜炎)、唇と口の発赤、発疹、四肢の腫れ・発疹、首のリンパ節の腫れ、関節炎など。合併症として最も懸念されるのは、心臓血管にできる冠動脈瘤だ。ただ、これらの症状はすべて発生するわけではなく、一度に起きるわけでもないことから、診断が困難な場合もある。

川崎病のような症状は4月以降、イタリア、スペイン、フランス、英国で報告されている。イタリア北部ロンバルディア州のベルガモ県では、同月だけでおよそ20件の症例が確認された。従来、およそ3年の間に報告されてきた件数だ。

これらの症例のなかには、「毒性ショック症候群のようにみられる」と指摘されたものもあった。多くには腹痛のほか、心臓にかかわる、著しい炎症の症状があったという。また、全員に集中治療室(ICU)での処置が必要だった。

英国民保健サービス(NHS)は国内の小児科医に対し、発熱と腹痛、その他の重度の炎症の兆候がみられる子供たちの心臓に問題がないか確認するよう警告している。また、世界保健機関(WHO)の感染症対策部門のテクニカルチームを率いるマリア・ファン・ケルクホーフェは4月30日、すでに世界中の臨床医のネットワークに対し、これらの症状に「警戒する必要がある」と伝えたことを明らかにした。

川崎病のような症状を見せたこれらの子供たち全員が、新型コロナウイルスの検査で陽性の反応を示したわけではなかった。だが、検査の精度はそれほど正確なわけではなく、陽性であることが見逃された可能性もある。

ニューヨーク市保健局は5月4日、市内で4月17日~5月1日に15人の子供に川崎病のような症状が確認されたとして、同様の警告を発した。これらの子供たちは大半が重症で、半数以上に血圧管理、多数に人工呼吸器が必要だったという。また、米国ではフィラデルフィア、ボストンなど、その他の地域でも同様のケースが報告されている。

前述のとおり、COVID-19に感染した子供たちのほとんどは軽症で、合併症を起こすケースも少ない。だが、新たに報告されるようになったこれらの特異な症状は、ごく一部の子供たちにみられるものである一方、重症であり、治療が必要であると認識しておくことが重要だ。

編集=木内涼子

タグ:

連載

新型コロナウイルス特集

ForbesBrandVoice

人気記事