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SDGs時代の、世界をよくする仕事の作り方

Hindustan Times/Getty Images

日本でよく目にする、新型コロナウイルスに関連したインドの情報といえば、ロックダウン(全土封鎖)が招いた出稼ぎ労働者たちの「3密」状態だったり、地方当局が人々に消毒液を噴射する様子だったりと、いずれも仰天するような話ばかりだ。

なので、もはや何を見ても驚かないとは思うが、この写真はどうだろうか?

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インドの医療系スタートアップ、Pulse Active Stations Networkが開発した新型コロナウイルス検査用キオスク「Pulse Anti-Covid Station」

透明のシートで覆われたブース内に人が立ち、袋が付いた穴から手を突き出している。これは、なんと、インドの医療系スタートアップが編み出した、新型コロナウイルス検査用のキオスクなのだ。

孫泰蔵氏率いるミスルトウも出資


インドのモディ首相がロックダウンに踏み切ったのは3月25日のことだ。当初は21日間の予定だったが、その後の感染拡大を受けて、5月17日まで延長することとなった。インド保健家族福祉省によると、5月7日の時点で、感染者数は累計約5万3000人にのぼっている。

そんななか、インドでは医療テック業界を中心に、政府機関と連携しながら新型コロナ危機に立ち向かうスタートアップが続々と登場している。

その1つが、南インド有数のIT都市であるハイデラバードに拠点を構えるPulse Active Stations Network(パルス・アクティブ・ステーションズ・ネットワーク)だ。冒頭で紹介した新型コロナウイルス検査用のキオスクは、この会社がつくったものだ。

元々、同社は駅構内や商業施設など市民が日常的に訪れる公共スペースで、「パルス・アクティブ・ステーション」という健康測定のためのスマートキオスクを展開していた。

このスマートキオスクでは、数分で身長や体重、BMI、血圧など21以上の数値を測定でき、糖尿病や心臓疾患など12の生活習慣病リスクも指標化される。基本データの測定料は、1回50インドルピー(約70円)。市民が気軽に使えるのが売りだ。

ハイデラバードの地下鉄駅構内で、同社がスマートキオスクを稼働し始めたのは2018年2月のこと。そこから一気に市場を拡大し、現時点でインド国内の106都市、150拠点で展開している。2019年にはスタートアップ企業支援プログラム「Y Combinator」に参加し、注目度はさらに上昇。孫泰蔵氏率いるMistletoe(ミスルトウ)やアシックス・ベンチャーズも同社に出資している。

そんな矢先に訪れた「コロナ危機」。この気鋭のスタートアップのビジネスも危機的状況かと思いきや、実は即座に「新型コロナシフト」を果たし、いまや感染症対策の第一線で戦いを挑んでいる。

インド国内全土が混乱に陥るなか、彼らはなぜビシネスをシフトできたのか。それを知るためには、時計の針をロックダウン前に戻したい。

文・写真=瀬戸久美子

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