イスラエル企業のMoovitにインテルは2018年に出資を行っていた。Moovitは世界の公共交通のデータを収集し、ライドシェアや自転車など様々な移動手段を組み合わせた乗り換えプランを提供している。
インテルは自動運転車向けのセンサーやソフトウェアを開発する「モービルアイ(Mobileye)」を2017年に153億ドルで買収しており、今回のMoovitの買収にはモービルアイの技術を補完する狙いがある。
「モービルアイのテクノロジーは既に数百万台の自動車に搭載されている。ここに、Moovitのデータを追加することで渋滞を減らし、モビリティ分野を革新する試みを前進させる」とインテルCEOのボブ・スワンは声明で述べた。
Moovitの設立は2012年。当初はイスラエルのテルアビブの通勤者向けにバスや電車などの発着時刻を通知していたが、現在は世界100ヶ国の8億人以上の利用者向けに乗り換え案内サービスを提供している。
同社の共同創業者のニア・エレズは、アルファベット傘下のカーナビアプリWazeにインスピレーションを受けて、Moovitを開発。世界で最もダウンロードされた乗り換え案内アプリに育て上げた。
インテルは、Moovitがモービルアイとの組み合わせで提供するタイプのモビリティサービスの市場規模が、2030年までに年間2300億ドル規模に達すると述べている。
Moovitの巨大なデータベースを取り込むことで、インテルはモビリティ分野におけるアルファベットの覇権を脅かしたい考えだ。自動運転分野の覇権を握るアルファベットは、グーグルマップやWaze、ウェイモなどに巨額の出資を行ってきた。
「世界数億人が利用するMoovitは強固なブランドを築き上げた」と、モービルアイCEOのアムノン・シャシュアは声明で述べた。「モービルアイのマッピングや自動運転関連のテクノロジーとMoovitのサービスを融合させることで、モビリティの未来に向けたイノベーションを加速させていく」
200人の社員を抱えるMoovitは今後、インテル傘下で運営を継続する。Moovitは公共交通のデータと共に、個々のアプリ利用者の移動データを把握し、最適な交通ルートを提供している。同社は複数のライドシェア企業や、バイクやスクーター企業とも提携を結び、データ提供を行っている。
「個々のユーザーのニーズや、日々の移動データを把握することで、地球環境に優しい都市交通を実現する。当社のチームは、世界の都市をより快適にする」とMoovitのエレズは述べた。