GUCCIが取り組む対新型コロナアクション「WE ARE ALL IN THIS TOGETHER」

新型コロナウイルスのパンデミックにおいて、イタリアは大きな被害を被った。5月12日現在で死者数は米国、英国に次いで多い、3万人以上となっている。

およそ22万人の感染者の3分の1、7万8000人余がロンバルディア州での感染によるものである。ロンバルディア州の州都はミラノ。人口においてはローマに次ぐ第二の都市であるが、イタリア最大の金融都市であり、またファッションの都でもある。裕福な市民の多いこの街に、新型コロナウイルスはかつてないほどの不吉な、黒い影を落としていると言えるだろう。

このコロナ禍に際し、ファッション業界は何ができるのか。アルマーニグループは、3月26日にイタリアのすべての自社生産工場で防護服の製造を開始すると発表。ほかにもドルチェ&ガッバーナやブルガリ、モンクレールなどのブランドからイタリア国内の医療機関への寄付が報じられるなど、多くのラグジュアリーグループやブランドが支援の手を差し伸べている。

なかでもいち早く、また大きなアクションを起こしているのがイタリアを代表するブランドであるグッチだ。自社工場で110万枚のサージカルマスクと5万5000着の防護服を製造すると発表していたグッチは、3月26日、新たに2つのクラウドファンディング・キャンペーンを通じて総額200万ユーロ(およそ2億3000万円)の寄付を行うと発表した。

ひとつはグッチ創設の地であるイタリア国内で、国家市民保護局のさまざまな活動を支援するためにインテーザ・サンパオロ銀行との連携によって行われる、言わばローカルな支援だ。グッチが寄付した100万ユーロは公共医療サービス強化と新しいICUベッドの調達のために使われる予定だという。

もうひとつは、フェイスブックが世界規模で展開しているマッチングキャンペーンを通じて、COVID-19連帯対応基金へ贈る100万ユーロだ。COVID-19連帯対応基金は、ウイルスの感染拡大の追跡と把握、患者ケアおよび集中治療の強化、医療従事者の防護デバイスなどサプライの増強、ワクチンおよび治療法開発の促進など、国境を超えた人命救助活動の支援を目的に、WHOが国連基金、スイス慈善基金会とともに立ち上げた基金である。

こちらはグッチの支援により、同基金の目標金額である7億5000万円にたいし、現在85%を達成。合計額は約6億4000万円に達しているというから、世界からの注目の高さを推し量れるというものだ。
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文=秋山都

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