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2020.05.08

英ヴァージンが3000人を解雇、富豪ブランソンの苦境が鮮明に

リチャード・ブランソン(Photo by Eugene Gologursky/Getty Images for International Rescue Committee)

英国のヴァージン・アトランティック航空は5月5日、従業員3150人を解雇すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、航空業界各社はコスト増に直面しており、ヴァージンはロンドン・ガトウィック空港の利用を停止し、ロンドンの発着便をヒースロー空港に集約する方針も明らかにしている。

ヴァージンCEOのシャイ・ワイスは「36年前の創業以来、当社は様々な危機を乗り越えてきたが、これほどの損失に直面したのは初めてだ」と述べた。

ヴァージンはコスト削減により、現金残高を確保し、事業を継続しようとしている。「リストラに踏み切るのは心苦しいが、やむを得ない措置だ」とワイスは述べた。

英国のビリオネアのリチャード・ブランソンはヴァージン・アトランティック航空の株式の51%を保有している。

ブランソンは、英国政府に対し事業存続のための支援金として2億5000万ドルを求めたことで、世論の強い非難を浴びた。大富豪である彼は、個人の資金で事業を建て直すべきだというコメントが殺到したのだ。これに対してブランソンは公開書簡で次のように反論した。

「多くの人々が私の個人資産について言及しているが、そこに挙げられた数値はパンデミックの危機が訪れる前のヴァージングループの企業価値をベースに試算されたものだ。当社は長年、既存事業の利益を新たな機会の創出に向けて再投資してきたが、売上を喪失した今は資金の枯渇に直面している」

ブランソンは居住地を英国外のネッカー島に置き、英国の所得税を支払っていないことでも批判を浴びたが、「これは税逃れのためではなく、ヴァージン諸島を愛する故の行動だ」と弁明した。

ヴァージン・アトランティックは5月5日、「事業継続のためにあらゆるオプションを検討する」と宣言し、英国政府からの支援金調達についても交渉を継続すると宣言した。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、航空分野の大手は事業の立て直しに苦戦している。ブリティッシュ・エアウェイズも最大1万2000人の解雇を検討しており、全パイロットの26%に相当する1130人の操縦士らも対象となる見通しだ。

北欧最大の航空網を持つスカンジナビア航空や、ドイツのルフトハンザ航空、ノルウェーのエアシャトルも人員削減に踏み切るとフィナンシャル・タイムズ(FT)は報じている。

さらに、航空機向けのエンジンを製造する英国のロールスロイスも最大8000人の解雇を検討中で、航空機メーカーのエアバスも工場の従業員3200人に一時帰休を命じる予定という。

編集=上田裕資

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