パンデミックで突然開始した「在宅勤務実験」から見えてきたこと

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距離をとることで一体感は高まり得る


「距離をとることで一体感が高まる」ことは矛盾に思えるが、どうしたらそれが可能なのだろう。物理的に距離を取らなければならない現状は、人間同士の絆を強化できるだろうか。

私は可能だと信じているし、実際にそうなっている。隔離状態にある私たちは、人とともに働くとはどういうことなのかを見直し、再創造しなくてはならなくなっている。

たとえば、ビデオ会議のあいだには、相手のペットや子どもたちなど、さまざまなものが映り込むことがある。もはや、泣いている子どもや吠える犬の混乱をひた隠しにする必要はない。そうした邪魔が入っても、私たちは前より寛大に受け入れられるようになったし、結果的には、以前よりも同僚やクライアントについて知ることができた。こんなことでもなければ目にできなかったであろう相手の自宅を垣間見れるようになったのだ。

背景に映るその人個人の持ち物や、普段着の同僚を見て、職場では知り得なかった本当の姿が理解できる。この在宅勤務実験で、多くの人は警戒心を解くようになった。そのおかげで、相手の本来の姿が以前よりも見え始め、もっと有意義なかたちで理解を深められるようになっている。

いずれは、何らかのニューノーマルができあがり、外出したり、少なくとも適度な距離を保ちながら他人と接触したりする日々が再び始まるだろう。自然の流れとしては、私たちはこれまで慣れていたような、さまざまな遅延や障壁のある働き方へと戻ろうとするだろう。けれども、おそらく私たちは、今回の体験から得た教訓、そしていまも学び続けている教訓を足がかりに、組織を再生させることができるだろう。組織を進化発展させ、最終的には生産性を向上させ、より一層成功させるために。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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