「パンデミック後の都市交通」を世界の各都市が模索

ミラノの様子(Getty Images)


ミラノ市で都市交通を統括するマルコ・グラネッリ(Marco Granelli)は、同市は何年も前から、自動車の利用を減らすために取り組んできたと話す。誰もが車を使うと、人々が歩きまわったり、店の前で商業活動したりできる空間がなくなってしまう。ミラノは経済の再開を望んでいるが、以前とは異なるやり方が必要であることを認識しているのだ。

イギリスのロンドンでは、ロックダウンが始まってから、市内でもっとも過密した地域の大気汚染レベルが50%以上も改善された。サディク・カーン(Sadiq Khan)市長は、きれいな空気は一時的なものであってはならず、現在の危機を脱したあとは、大気汚染を完全に解消することと、超低排出ゾーン(ultra-low emission zones:ULEZs)の導入で得られたメリットを強化することが課題になると述べた。

超低排出ゾーンとは、ロンドン市内の指定地域内に乗り入れる自動車が、一定の排ガス基準を満たさない場合に料金が徴収される制度だ。現英首相ボリス・ジョンソンがロンドン市長だった2014年に構想が始まり、2019年4月にカーン市長によって導入された。

ロックダウンで交通状況が緩和されたことには、大気汚染の改善以外にも、目に見える副産物がある。交通事故が激減したことだ。交通量が20%から55%減少したカリフォルニア州では、1日の交通事故件数が、これまでの通常時の1128件からおよそ450件に減っている。州と市民は10億ドルを節約できた計算だ。

パンデミックをきっかけに、都市設計が真剣に見直され、以前よりも汚染が少なく健康的で健全な街に変わることを望みたい。それとも、ロックダウンが解除されれば、私たちはただ以前の暮らしへと戻っていくだけなのだろうか。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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