神経科学に基づいた仕事のストレス対処法

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多くの従業員が、新型コロナウイルスの流行により遠隔勤務をしている。この危機がどれほどの期間続くかは不明なこともあり、多くの人がこの新たな現実に合わせられないでいる。パンデミック(世界的大流行)により心の健康にも危機が生じており、ビジネスリーダーはこれと折り合いをつける必要がある。

科学を基盤としたリーダーシップ開発企業ニューロリーダーシップ・インスティテュート(NeuroLeadership Institute)の創業者、デービッド・ロック最高経営責任者(CEO)は、私たちの脳がどのようにトラウマ(心的外傷)に反応するかを研究してきた。ロック博士のチームは、従業員の支援戦略策定のため複数の企業と協力している。

「危機が生じると、論理的思考や批判的思考など私たちの認知機能の重要な側面が低下する可能性があるため、非常に危ない」とロック博士。リーダーは従業員の不安を緩和するため、個人的なストレスを緩和する緩衝材のようなものを作り出すことができる。ロック博士によると、こうした緩衝材は「重要な領域における脅威を最小化し、前向きな社会的合図を送ることで従業員を支援するちょっとした振る舞い」だ。

地位(Status)、確実性(Certainty)、自律性(Autonomy)、関係性(Relatedness)、公平性(Fairness)の頭文字を取ってSCARFとされるこうした領域は、ニューロリーダーシップ・インスティテュートの研究に基づく社会的脅威と報酬のモデルだ。ロック博士は「社会的合図を送る上で全ての5つの領域が重要だ。確実性と自律性、関係性は個人的なストレス緩和において注目するものだが、地位や公平性は私たちの制御できる範囲外にあることが多い」と述べている。

ロック博士はこの5つの重要領域において、リーダーが神経科学に支持された戦略を使い、新型コロナウイルスのパンデミックの間もストレスに対処する方法を共有した。

1. 確実性 最新情報を得ていると感じるニーズ


通知を受信するたびにニュースを確認したい衝動をできる限り我慢すること。可能であればこうしたアラートを削除し、次にニュースが報じられたときに集中を妨げられないようにする。ニュースを確認する回数は1日2回までとし、朝と午後だけにしてもよいだろう。こうした境界線を設けることで、情報は得つつも、不安が減るか少なくとも和らげてくれるだろう。

不確実な時期には特にチームとの関わりで透明性を意識し、明確なコミュニケーションを取ること。出来事を制御したり未来を予測したりすることはできないかもしれないが、従業員が必要とする情報を提供することはできる。
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翻訳・編集=出田静

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