AIやVRとの融合でプロスポーツが「仮想化」する日

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もちろん、仮想空間におけるスポーツよりリアルなスポーツの方が面白いに決まっている(と、少なくとも私個人的には思う)。鍛え上げた選手たちが直接ぶつかり合う迫力や、そこから生まれるドラマがスポーツの醍醐味だ。

しかしながら、AIやVRなどテクノロジーを駆使すること、もしくはこれから生まれてくるだろう新しい技術を導入することで、選手同士の競い合いをデジタル空間上に再現したり、試合結果を精密にシミュレーションすることはある程度可能となっていくはずである。「スポーツの仮想化」もしくは「スポーツのデジタルツイン」とでも表現すべきか。副次的であったとしても、観戦の楽しみ方の幅を広げたり、スポンサーや放送局がつけば新たなビジネスモデルとして成り立つ可能性もあるのではないだろうか。

余談だが、欧米では大手スポンサーが伝統的なプロスポーツ市場からeスポーツ市場に乗り換え始めているという実情がある。理由は単純で、未来の消費者である若者や子供たちの多くが、スポーツよりゲームを好むからだ。ただそこで、プロスポーツ選手がゲームで戦う「仮想スポーツ市場」が成立したとすればどうか。ゲームのプロが覇を競うeスポーツ市場から「再びスポンサーを奪い返すきっかけになる」という予測は、決して的外れではない気がする。

コロナ禍とデジタルトランスフォーメーションの影響は、近代スポーツや関連産業の在り方を最終的どう変容させるのか。兆候は少しずつ現れ始めている。

文=河 鐘基

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