パンデミックの意外な影響、飲食業界を脅かす「二酸化炭素不足」

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新型コロナウイルスの流行により、社会的距離政策(ソーシャルディスタンシング)や外出禁止令に伴って企業が閉鎖されていることで、さまざまな製品が不足状態に陥っている。

出勤や旅行をする人が減少していることから、エタノールなどの燃料の需要が低下しており、工場はエタノールとその副生成物の生産を縮小するか、完全に停止させている。そして、エタノール工場の生産量減少に伴い、エタノール製造の副生成物として得られる二酸化炭素(CO2)も、生産量や転売量が減少している。これにより、炭酸化にCO2を使用する食品・飲料メーカーに影響が出ている。

ロイターの報道によれば、現在のパンデミックに伴う変化の影響により、米国にある45の工場のうち、34施設でエタノール生産量が減少している。エタノール工場は、副生成物のCO2を食品・飲料メーカーに転売していることから、そうしたCO2に頼る企業は価格上昇に見舞われている。たとえば、ビール醸造会社が購入するCO2の価格は、いまや25%も高くなっている。

CO2の不足は、ビール、ソーダ、炭酸水などの企業に影響を及ぼしている。

米国圧縮ガス協会(Compressed Gas Association)などの業界団体から構成される連合は、マイク・ペンス副大統領に宛てて書簡を送った(この連合を構成する団体は以下のとおり。全米豚肉生産者協議会(National Pork Producers Council)、米国ビール協会(Beer Institute)、米国ビール醸造者協会(Brewers Association)、全米七面鳥連盟(National Turkey Federation)、北米食肉協会(North American Meat Institute)、全米肉牛生産者・牛肉協会(National Cattlemen’s Beef Association)、全米再生可能燃料協会(Renewable Fuels Association))

連合は以下のように書いている。「米国内における食料供給の信頼性確保に努める全米50州の数多くの労働者を代表して、強い懸念を表明する。現在の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、二酸化炭素(CO2)不足の深刻なリスクが生じており、必要不可欠な食品・飲料や、米国経済におけるその他のセクターの利用機会に大きな影響が出るおそれがある」
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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