経済・社会

2020.05.13 18:00

勇気ある内部告発を歓迎せよ。これからの個人と組織のあり方


「個の時代」の組織との向き合い方とは


内部告発の観点で、日本企業独特の終身雇用やメンバーシップ型雇用についても触れておきたい。これまでの日本の働き方は、高度経済成長を実現させるなど、ある種の“ファミリー”のような結束力を生む良い側面もあったと思う。

一方で、個人も組織(企業)に過度に依存し、ときに間違った“忠誠心”が、公益より組織の論理を優先させ、組織内の同調圧力や、不正の“隠蔽”を助長する空気をつくっていた側面もあったのではないか。コロナ禍をきっかけにテレワークが広がるなど働き方も大きく変わっていく中で、単に勤務スタイルの変化だけでなく、組織と個人のあり方、その思考についてもアップグレードが必要ではないだろうか。

Getty Images
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組織と個人のあり方が変わり、SNS時代に発言力やクリエイティビティを持つ個人がどんどん力をつけて「個の時代」になってきている。きっとコロナ禍以後の世界では、その傾向はより加速していくだろう。組織との向き合い方を見直し、組織に属しながらも、「個」としてより強く社会とつながることが求められているのではないか。

メディア側にも努力が必要


組織の中で起きていることを「外」に知らせることが、有効に働くケースもある。

内部告発とは話の趣旨が少し異なるが、巨大組織では、幹部の“不可解”な言動が、週刊誌などに掲載されることがある。組織の「情報管理」の観点では別の問題があるのだが、私はどこかで、健全だと思う気持ちもある(もちろん内容による)。外に知らせることで、例えば理不尽な圧力などへの抵抗を図り、抑止力を働かせようという者もいるかもしれない。手段について賛否はあるだろうが、気持ちは理解できなくはない。

メディアを通じた内部告発によって、社会的インパクトをもって不正が発覚し、ドラスティックな変革を組織に迫ることもある。メディアに報じられた場合、“黙殺”は難しい(そもそも黙殺は“悪手“である)
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文=島 契嗣

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