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最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介

パナソニック終身客員の木野親之

新型コロナウイルスの影響で、人との物理的な距離感、コミュニケーションの仕方が変わるなか、「いかに人間関係を育むか」は、この先の大きな論点のひとつだろう。 4月25日発売のフォーブス ジャパン6月号では「新しい師弟関係」に焦点を当て、全55組の師弟を紹介。本誌掲載記事から一部抜粋でお届けする。


「話を聞かせてほしい」。ファーストリテイリング柳井正が連絡したのは、倒産寸前の企業を立て直し、世界一のファクシミリメーカーに育てた木野親之だ。柳井、木野へと流れる源流には松下幸之助の存在があったのだ。

 「経営の神様」から40年にわたり直接薫陶を受けた木野は、師弟関係の本質をこう言い表している。「師をもつということは、自分の生き方の規範をもつということ。ひとりでは偉業は達成できません」。

生涯の師・幸之助との運命の出会い、叩き込まれた経営哲学、最後の言葉──。94歳になる「幸之助最愛の弟子」が明かした師弟の逸話を、少しだけご紹介しよう。

木野:私と松下幸之助氏の出会いは、私が大阪大学の学生の時でした。終戦後、ラジオもテレビもない時代の唯一の娯楽は「映画」でした。ところが映画は税金が高かった。私は入場税を無税にするための民間の教育映画審議会を設立しようと、学生だてらに奔走していました。

そんなおり、幸之助氏から「代表の学生と話がしたい」と……。幸之助氏の社宅の8畳間に招かれ、銀シャリの幕の内弁当が出され、問答は3時間に及びました。

私はそこで「木野君、人間は強いと思うか? 弱いと思うか?」と尋ねられました。すかさず「人間は弱いものだと思います」と申しあげると、幸之助氏は「自分は、人間は本来強いものだと思うんだ」と言うのです。

「太陽が東から昇って西に沈む。冬の後は春がやってくる。そういう自然の法則というのを、いま仮に“宇宙根源の法則”と名付けておこう。この宇宙根源の法則に人間が乗ったときに、人間本来の姿を現して、人間は強くなるんだ」

「では“宇宙根源の法則”に乗るにはどうしたらいいんですか」と質問すると、
そして、何かに手を合わせるような気持ちになることだよ」と教えてくれました。

そして審議会の副会長を引き受けてくださったのです。私は「希い求めていた人に初めて巡り合えた」との喜びで体が痺れるような感銘を受け、1951(昭和26)年、松下電器に、幸之助氏が保証人となり入社しました。

幸之助氏は「宇宙根源の法則にのっとった経営こそ王道や」と常々申しておりました。ご承知の通り、 経営には「王道の経営」「覇道の経営「邪道の経営」の3つがあります。

「王道の経営」は、正義・大道の経営、人間主義の経営。「覇道の経営」は、権力の経営、金が主役の経営。「邪道の経営」は、 邪な経営、法律を破る経営です。それぞれの経営が企業全体に占める割合は順に、5%、90%、5%程度でしょう。

なぜこのように覇道の経営が多いのでしょうか。 それは経営者の心、生命が「金が主役」と考えて濁っているからです。頭で経営をやりますと、つい数字に振り回されて、邪道の経営になってしまう。(続きはフォーブス ジャパン 2020年6月号でお読みいただけます)。

木野が「神様」に託されたこととは──。本誌ではそのほか、マネーフォワードCEO辻庸介、マクアケ代表取締役社長の中山亮太郎、作家の辻仁成から政治家野田聖子まで、全55組の師弟関係を一挙公開。フォーブス ジャパン2020年6月号は、現在好評発売中! ご購入はこちらから。

 

木野親之◎1926年大阪府生まれ。神戸工業専門学校(現・神戸大学工学部)卒業。51年松下電器産業入社。松下電送社長、会長を経て、NTTデータ通信の取締役相談役に就任。92年よりパナソニック終身客員。

文=堀香織 編集=谷本有香 写真=小田駿一

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