中国でも苦戦のファーウェイが熱望する「5G時代」の到来

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中国のファーウェイは米国の禁輸措置に対抗し、国内での売上を伸ばしてきたが、ここに来て新たな壁にぶつかった。新型コロナウイルスの感染拡大は、中国国内でのスマホ需要にもダメージをもたらした。

ファーウェイは3月末から、スマホの製造ラインを復活させたが、問題は国内需要が以前のレベルに戻っていないことだ。中国の景気は大きく落ち込み、消費者は新たなデバイスの購入を控えている。

調査企業ガートナーのCK Luは、「このような状況下で、昨年と同様の出荷台数を実現できれば、大成功と言えるだろう」と述べた。

ファーウェイの創業者でCEOの任正非は3月25日にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に掲載されたインタビューで、海外での売上が減少傾向にあるものの、中国でのスマホの販売台数は1日平均で45万台に達していると述べていた。

深セン本拠の同社はここ最近、新製品の発売サイクルを早め、エントリーレベルのデバイスを大幅に値引きして販売しており、競合のシャオミやアップルの進撃を食い止めようとしている。

ファーウェイが4月に発売したNovaやHonorシリーズは、予定を前倒しして市場に投入された。同社は3月には新たなフラッグシップモデルの「P40」を投入し、洗練されたカメラ機能をアピールした。

調査企業カナリスのJia Moは、ファーウェイが新製品の投入によって国内のシェアを高め、昨年の38.5%の市場シェアを上回ると予測している。しかし、2019年に3億7100万台を記録した中国のスマホ出荷台数は今年、2億8000万台から3億2600万台のレンジまで落ち込む見通しだ。

ファーウェイが仮に40%の国内シェアを獲得できたとしても、今年の出荷台数は最大1億1400万台程度になり、昨年の1億4200万台から、大きく落ち込むことになる。

ファーウェイが4月21日に発表した2020年第1四半期の売上は1822億元(約2670億円)で、前年同期比でわずか1.4%の伸びだった。売上高の伸び率は前年同期の39%から急激に縮小した。

アナリストらは、ファーウェイのスマホ事業の落ち込みは、中国の売上のみで挽回することは不可能だと指摘している。同社のスマホの海外での売上は、Gmailやグーグルマップなどのグーグルのサービスを搭載できなくなったことにより、大きく減少した。これは米国のトランプ政権が、ファーウェイに対する禁輸措置を発動したためだ。
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編集=上田裕資

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