海中のプラごみは最大1300年も残り続ける、英研究で判明

Photo by Juancho Torres/Anadolu Agency via Getty Images

世界初の合成プラスチックであるベークライトが発明されたのは1907年のことだった。その後、100年以上を経てプラスチックの製造や消費は拡大し、今では年間3億8100万トン以上のプラスチックが製造されている。

素材としてのプラスチックは様々な用途に使え、軽量で折り曲げやすく、耐水性があり安価な点が特徴だ。多くの場合、使い捨てにされるプラスチックは世界の海の汚染の問題を引き起こしている。

しかし、海中のプラスチックが分解されるまで、どの程度の時間がかかるかは明らかになっていない。英国のプリマス大学の環境科学者のAndrew Turnerは、レゴブロックを用いた研究で、この疑問を解き明かそうとしている。

最も初期のレゴブロックは木製で、デンマークの大工のオーレ・キアク・クリスチャンセンが1934年に製造した。その後、プラスチック製のレゴブロックが1950年に発売され、1958年に現在のデザインが完成した。それ以降、レゴブロックの外観は変わっていないが、素材に含まれる化学物質は変化している。

Turnerのチームは、それらの化学物質を分析することでレゴブロックの製造年度を推定している。

2010年に研究チームは英国のコーンウォールの海岸に打ち上げられたレゴブロックを収集し、プラスチックに含まれるカドミウムを分析した。カドミウムは1980年以前に製造されたブロックの、黄色や赤の顔料として用いられており、一部のブロックが少なくとも30年から40年前のものであることが分かったという。

その後、風化したレゴブロックを同じ年代に製造された新品と比較することにより、研究チームは海に投棄されたブロックの、経年劣化の速度を試算した。その結果、劣化したブロックの重量は、新品よりも30%から40%、減少していることが確認できた。このデータをもとに、Turnerのチームはレゴブロックが完全に分解されるためには、最低で100年、最大で1300年の時間が必要であると推定している。

以前の研究では、プラスチック製の包み紙が海で分解されるためには数十年が必要であるとされていた。しかし、プラスチックごみの大半はレゴブロック程度の厚みや大きさであり、これらのプラスチックが分解されるためには、さらに数百年の歳月が必要だと考えるのが妥当だと、Turnerのチームは述べている。

編集=上田裕資

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