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ドキュメント 教育革命の最前線から


「コロナごっこ」をする子どもたちに


とはいえ、今回の休校措置では、新年度に入り進級したにもかかわらず、子どもたちが戻る学級さえ整っていない学校が多い。今後、休校が解除された場合、元どおりの学校生活にスムーズに戻ることは難しいかもしれないと懸念している。

「子どもたちに“不安や悲しみに向き合う力”がついていれば、休校が解除された後も差別的な言動は出てこないと思います。しかし、みんなが疑心暗鬼になってしまい、被害者意識を持っている子や、劣等感や孤独感を抱えている子が多くなると、自分と違うものや世の中を困らせた新型コロナウイルスに対して恐れを抱き、排除しようという態度が現れてしまうかもしれません。

例えば、東日本大震災の後には、『津波ごっこ』をする子どもたちがいました。今回も、『コロナごっこ』をする子どもたちが出てくるかもしれません。相手を傷つける言動が激しくなる場合もあります。大きな不安を自分だけでは受け止めきれずに、自身の不安を取り去るため、そうした方向へと動く子どもたちが出てくるのです。

もし、休校中に、家庭でもそういう傾向が現れてきたときには、遊びを見守ってあげてください。そして、その不安を受け止めてあげてください。『わからないものって、怖いよね』『自分や家族がなったら嫌だなって思うよね』などと声をかけ、その子の感情はしっかりと受け止める。しかし、『その願いを相手を傷つける方法で表現するのは違うよね』ときちんと伝えてあげてください。

つまり、『受容はするけど、許容はしない』という姿勢を貫くことです。まず、その子の抱える不安を受け止めてから、正しい知識を伝えてほしいと思います」

大人も弱音を吐くのを我慢しない


新型コロナウイルスに関するテレビやネットなどの情報について、大人たちが家庭でどのように受け止めているかも、子どもたちに大きな影響を与えると副島さんは言う。

「大人でも不安なときには、不快な感情が出てきます。悲しい、辛い、悔しい、イライラする……。それは自然なことです。僕は子どもたちにいつも伝えていることが2つあります。

『1人じゃないよ』『どんな感情も大切にね』

1人じゃないから、弱音を吐いて、助けてと言っていい。どんな感情も持っていい。ネガティブな感情が出てきたとき、自分のことをダメだと思わなくていい。そう伝えると、子どもたちは、驚いたような顔をして、『えっ、そうなの?』と言う場合が多いのです」

そういえば、私たちも、子どものころからずっと「自分のことは自分でしなさい」「我慢しなさい」「わがまま言わないの」などと言われて育ってきた。仕事においても弱音も吐けず、失敗は許されず、ネガティブな感情を持つことは、よしとされてこなかった。

「不安は、思考や行動を止めてしまいます。ときには感情も止めてしまう。感じていること、動いていること、考えていることをみんなで互いに出し合ってシェアすれば、不安というのは小さくなっていくものです。

だから、子どもの身近にいる大人は、感情をどう扱っているかを子どもに見せてあげてほしい。悩んでいる、苦しんでいる姿も見せていい。大事なのは、そういう感情が生まれてきたときに、感情にどう向き合うかなのです。大人は子どものモデルですから」

大人だからといって我慢しなくていい。弱音を吐いたり、誰かに「助けて」と言ったりしていい。お母さんちょっと疲れちゃったな」「お父さんも心配になることあるんだ」そんなふうに、自分の感情を大切にしていい。マイナスの感情も家族で共有すればいいと副島さんは言う。

友達や家族に相談できないことは、専門家に聞いてもらってほしい。地域のさまざまな電話相談などや、無料で受けられるカウンセリングなどもフル活用していくことだ。

「さらに、『私たちの生活を守るために働いてくれている人がいるんだよ』『かかってしまった人を治療するためにお医者さんや看護師さんは頑張っているんだ』というように、日頃から、子どもたちが社会に目を向けるような話題を話すことも大切です。1人1人がそういう視点を養っていけば、子どもたちは学校が始まっても差別感情を持つことが少なくなるでしょう」

文=太田美由紀

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