少なくとも20秒は手を洗わなければならないことは知られているが、手の乾かし方はウイルス拡散を制御する上でどのような役割を果たすのだろう? 実は、手の乾かし方は私たちが考えている以上に重要であることがこのほど判明した。
今年の欧州臨床微生物感染症学会議(ECCMID)で発表された新たな調査は、ペーパータオルとハンドドライヤーの2つの方法で手を乾かした場合を調査した。多くの公衆トイレでは、ペーパータオルとハンドドライヤーのどちらかを選ぶことができるが、コストと環境面を理由にハンドドライヤーがペーパータオルに取って代わるところが増えている。
研究者らはバクテリオファージ(細菌に感染するが人には無害なウイルス)を使い、公立病院のトイレを利用したボランティアの手の上で、ウイルス汚染をシミュレーションした。ボランティアは、あまりきちんと洗っていない手を再現するためウイルスへの暴露後に手をこすらないよう指示を受け、ペーパータオルかハンドドライヤーのどちらかで手を乾かした。
ボランティアはその後、ドアノブや階段の手すり、電話、肘掛け椅子など病院内の11カ所を触り、ウイルスがどのように服に付着するかをシミュレーションするためにそれぞれ着ていたエプロンも触った。研究者らはその後、全ての表面を検査した。
検査結果からは、ハンドドライヤーを使った後に触った11カ所の表面全てが汚染されていたことが分かったが、ペーパータオルで乾燥させた場合に汚染されていたのは6カ所だった。どちらの乾燥方法でもウイルス汚染が起きていた表面では、ハンドドライヤーで乾燥させた場合の汚染度合いがペーパータオルの10倍だった。
エプロンの汚染はハンドドライヤーで乾燥させた方が5倍高く、ウイルス粒子は対象者の体や他の人に付着するのに十分過ぎるほどだった。つまり、ハンドドライヤーを使った場合はウイルスの汚染度が全体として顕著に高まったのだ。ペーパータオルは完璧ではなかったものの、ハンドドライヤーよりも確実にましだった。