ライフスタイル

2020.05.03 12:00

本格クロカン、メルセデスベンツGクラスの初ディーゼルに乗ってみた

メルセデスベンツ G350d


センターコンソールの薄型フル液晶の大型ディスプレーは、あまりにも綺麗で解像度が高いので、キャビンの空気感を上品にする役割を十二分に果たしている。その中には使いやすいカーナビやインフォテインメントシステム、車両制御システムなどの機能が統合されている。
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ダッシュボードの中央に備わるのは3つのデフロックのスイッチ。同車は当然フルタイム4WDで、フロント、センター、リアの3カ所にデフロック機構を持つのは「Gクラス」だけだ。



車体の重さと大きさを感じさせない加速性


G350dには、3リッターの直6ディーゼルターボを積み、286psと600Nmのトルクを発生する。車重2460kgなのに、0-100km/hの加速は7.4秒とかなり速いと言える。しかも、この直6は、ディーゼルらしく下のトルクが太く、加速性は十二分だ。アクセルを力強く踏むと、同車は重さと大きさを感じさせない。
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9速ATとのマリアージュは見事で、このATは迷わずにどの場面でも最適なギア比を選んでくれる。アップシフトもダウンシフトも、エンジンの美味しい領域で行われるので、とても気持ちの良いドライブフィールだ。

しかも、ハードコアなオフローダーにもかかわらず、パドルもついて、変速からくるシフトショックは目立たない。G350dはSクラスと同様のディーゼルエンジンを搭載しているが、G350dのアイドリングからの再始動時の音や振動は「ガラガラ」という音でまるでトラックのような雰囲気。でも、Gクラスだから許してしまうし、速度をあげると、当然その音と振動は消える。

シャシーの曲げ剛性が55%強化され、フロントのサスペンションが改良されたおかげで、コーナーに入った時のキレの良さとステアリングの鋭さ、また安定感が明らかに向上している。「コンフォート」と「スポーツ」の2つのモードがあり、硬いスポーツモードのほうはゴツゴツした突き上げが多少気になるものの、コンフォートでは路面のウネリを上手に吸収し、ちょうど良いフラットライド。

昨年の夏、Gクラスで泥道など悪路を走る機会があった。ローレンジを使用しなくても、同車は急な滑りやすい登り坂をスイスイと登ったし、一つのタイヤが浮いて空転しても、グリップ抜群で走り抜けた。

フロントの新しいサスや、ステアリングの改善、そしてより高いシャシー剛性のコンビネーションが、より優れたオフロード性能を確保すると同時に、より静かでより良い直進安定性も可能にしている。

しかし、クルマがこれだけ大きくなって重くなってくると、小回りがなかなか効かない。大通りや高速道では、もちろん普通に走れるけど、狭い路地に入ると、少し早めにステアリングを切り始めないと間に合わない時もある。慣れが必要だね。

このG350dが生まれたのは、価格を下げ、しかも燃費を良くすることで、顧客層を広げるためと言えるだろう。僕はV8のAMG仕様にも乗ったけど、このディーゼル仕様で充分速いし、走りが豪快だし、ステータスもV8仕様に劣ることはないと思う。V8仕様のG550の1560万円と、フラッグシップのAMG仕様の2000万円を比べると、G350dの1200万円は安く感じる。コストパフォーマンスはダントツ1位に違いない。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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