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新型コロナウイルスの感染拡大が旅行業界に壊滅的打撃を与える中、グーグルの「ストリートビュー」を使ったバーチャル・ツーリズムが人気を博している。

グーグルは4月24日、ロンドン在住の公認ツアーガイド、Katie Malczykとのインタビュー記事を公式ウェブサイトに掲載した。感染拡大を受け、英政府がロンドンのロックダウンに踏み切って以降、Malczykは休業を余儀なくされている。

「夏季は最も忙しい時期だが、全ての予約が延期か中止となり、文字通り一夜にして仕事がなくなってしまった」と彼女は述べている。しかし、ある顧客からインスタグラム上でバーチャル・ツアーを実施してもらえないかという問い合わせを受け、ストリートビューを使ったロンドン観光を思いついたという。

「週に3日間、ストリートビューを使ってインスタグラムライブでバーチャル・ツアーを提供している」とMalczykは話す。

「多くの参加者が、好意的なコメントを投稿してくれている。多くの人が、外出した気分になれたとコメントしてくれている」と彼女は話す。

英国だけでなく、世界中で様々な制限が今年いっぱいは残るだろう。特に旅行業界では、来年まで影響が残ると予想する専門家が多く、これを契機にバーチャル・ツーリズムが根付くことになるかもしれない。

最近では、フェロー諸島の観光局も1日2回のバーチャル・ツアーを開始した。地元住民がカメラを装着して島内を歩き、視聴者はカメラの角度を遠隔から操作することができる。この試みはコロナ後の観光客誘致にも役立つことが期待される。

現地ツアーのオンライン予約サービス「GetYourGuide」や「WithLocals」もバーチャル・ツアーを開始した。イベントのライブストリーミングの多くは無料で視聴することができるが、プライベートセッションの予約も可能だ。各社は、ロックダウン中も認知度を高めることで、収束後の業績回復につなげたい考えだ。

コロナ後もこのトレンドは続く?


大手企業もバーチャル・ツーリズムに参入している。ロンリープラネットは今月、iPhoneを使ってアパラチア山脈のバーチャル・ハイキングが楽しめるアプリをリリースした。トリップアドバイザーも先週、バーチャル旅行キャンペーン“#RoamFromHome”を立ち上げ、100以上の体験を提供している。同社は、協業する小規模なツアーオペレーターの支援が目的だとしている。

しかし、コロナ後もバーチャル・ツーリズムは生き残ることができるのだろうか? 今ほど注目されなくなるかもしれないが、生き残ることは間違いないだろう。事態が収束して平常に戻るまでには、まだ当分時間を要することが予想される。それまでには、グーグルストリートビューなどを使ったバーチャル・ツアーが人々の生活に根付くかもしれない。

さらに、新型コロナウイルスに関わらず、旅行業界ではバーチャル化が進んでいたことを示すデータもある。ピュー研究所が昨年7月に発表したレポートによると、常時インターネットに接続している米国人の割合は28%と、2015年の21%から増加しており、現実社会よりも安全なバーチャルな世界を好む人が増えていることが伺える。

感染拡大によってバーチャル・ツーリズムの普及が加速したことは事実だが、パンデミック以前からバーチャル・ツーリズムは存在し、ニーズは高まっていた。多くの人はリアルな旅行を好むだろうが、バーチャル・ツーリズムがなくなることはなく、コロナ後も世界中で利用され続けることだろう。

編集=上田裕資

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