ベルギーの冷凍じゃがいもは、ある程度(60~70%)が契約先に卸され、残りは自由市場で販売されている。じゃがいも加工業界では契約上、受託したじゃがいもの加工を可能な限り優先させなくてはいけないため、冷凍じゃがいもメーカーは、加工済み製品を冷凍庫に貯蔵し、市場が再開されるのを待っている。
一方、レストランや業務用厨房、ベルギー名物のフリッツ店といった生のじゃがいもを扱う各社は、販売網がほぼ完全に失われてしまった。契約がなくなってしまった彼らは、ほかの解決策を模索している。
ベルギー産じゃがいもの流通や加工業者が加盟する「ベルガポム(Belgapom)」事務局長で、じゃがいも関連企業で構成される協会「ベルポテト・ドット・ビー(Belpotato.be)」のロマン・コールズ(Romain Cools)理事は、フリッツを食べる頻度を週1回から週2回に増やせば業界を救えると、国民に呼びかけている。ベルガポムはまた、ベルギー国内のスーパーマーケットに対し、ベルギー産じゃがいもとその製品を優先的に販売するよう依頼した。
ベルポテトは、加盟企業を救う試みのひとつとして、農務省にも支援を求めた。オランダやフランス、ドイツなど近隣諸国でも、同様の要請が行われている。「これはきわめて異例の事態だ。ヨーロッパのじゃがいも業界は、これまで一度も支援を求めたことなどなかった」とコールズは話す。「しかし、パンデミックは世界の市場を揺るがしており、私たちの業界が持つ強みが、いまや弱みとなっている」
農家にとっては、少し前から芳しくない状況が続いている。冷凍フライドポテト市場は世界的な市場であることから、中国でロックダウンが実施された時を前兆として、冷凍ポテトに対する外食産業からの需要が急落してきたのだ。大勢の人が買いだめに走ったほんの束の間の時期を経て、外食産業の冷凍ポテト需要はほぼ消滅している。