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本質的なビジネスモデルへの転換。「エゴ」から「エコ」へ


コロナ禍によって、変わるものと変わらざるものの分化が起こるでしょう。一部ではリモートワークによって「働かないおじさん」があぶり出された、と揶揄する声も聞かれますが、急激な環境変化のなかで加速するのは、より本質的なビジネスモデルへの転換です。

ファッションにフォーカスして考えれば、その本質は「自分が着たいものを身につける」ということ。ファッションには人間の意識変容の表象が表れます。これまで「私だけがかわいくなりたい」「他の人が持っていないものを私だけ持っていたい」といった「エゴ」の意識が強かったとすれば、これからは「サスティナビリティな素材や環境で作られている」「作り手、売り手、買い手の誰もがハッピーになれる」といった「エコ」な意識に立脚した、利他的なビジネスモデルが求められるようになるでしょう。



そこで生まれるのは、「やさしさの循環」です。地球環境にやさしい素材を使い、働く人にやさしい環境でものづくりを行い、全国各地の販売スタッフが健やかに働くショップで、本当に良いものだと心から思えるものを、大切なお客様におすすめする。それを買ったお客様も、「この人から買えて良かった」「本当に良いものを手に入れられた」と満足し、友人や家族におすすめする。

そういう意味では、この新型コロナ危機にありながら、これまでローカルのつながりを大切にして、販売スタッフを中心にファンコミュニティを作ってきたブランドは、「オンラインで商品を買って支援したい」「落ち着いたら必ず買いに行きます」と、顧客からあたたかい声が寄せられていると聞いています。そこで問われているのは、「売ってしまえば終わり」ではなく、企業が顧客と誠実に向き合い、売った後もしっかりと関係性を築きつづけてきたかどうかです。

ベンチマークやトレンドを追い、大量にものを作って大きな利潤を求めるのではなく、ローカルコミュニティに根差し、顧客が本当に必要とするものをつくり、提供する──。それが、After/Withコロナ時代におけるファッションに求められることではないでしょうか。


軍地彩弓(ぐんじ・さゆみ)◎編集者/大学卒業と同時に『ViVi』編集部で、フリーライターとして活動。その後、雑誌『GLAMOROUS』の立ち上げに尽力。2008年に現コンデナスト・ジャパンに入社。クリエイティブディレクターとして『VOGUE GIRL』の創刊と運営に携わる。2014年に自身の会社、株式会社gumi-gumiを設立。『Numéro TOKYO』のエディトリアルアドバイザー、Netflixドラマ「Followers」のファッションスーパーバイザー、企業のコンサルティング、情報番組のコメンテーター等幅広く活躍。

取材・文=大矢幸世 企画・編集=水野綾子+武田鼎 写真=栗原洋平

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