5G×メディア×スポーツの未来


ソニーの人気ゲーム「グランツーリスモ」においては、本物のF1ドライバーたちがコクピットに収まり、エキシビションとしてレースに興じる様は日常となっており、なんら珍しい話題でもない。2018年からはすでにFIA(国際自動車連盟)公認の「FIA グランツーリスモ選手権」が開催されており、チャンピオンシップとして成立している。このゲームはコクピットからクルマを操作するシミュレーター形態のため、本物のレース同様の没入感が観戦者にもリアリティをもたらし、人気を博している。

「たかがゲーム」ではないプロの技


モータースポーツ・ジャーナリストの大串信氏は「これを『たかがゲームだ』といまだに考えている人々は、時代に取り残されている」とさえ言及している。

私自身、報道からマーケティングまで20年以上スポーツ・ビジネスに従事して来た経験を持ちつつ「eスポーツ」については、恥ずかしながら密かに「スポーツではない」という見解を持っていた。しかし数年前、格闘ゲームのeスポーツプレーヤー「たぬかな」選手を訪ね、実際にその対戦を取材したところ、わずか「コンマ数秒」の反応速度の違いで、相手に技をしかけることができるか、それとも対戦相手に技を決められてしまうかの差を目撃、目から鱗を落とした。

対戦相手が技を繰り出す直前の動きを察知し、その瞬間に自身の技の、あるいは防御のコマンドを瞬時に打ち込む......。そこに「コンマ」の遅れが生じると致命傷になりかねない。プレーヤーたちは、考えるよりも早くその刹那に、反射的に反応できるよう日々の鍛錬を積んでいる。これを目の当たりし、「これはスポーツだ」と肌身に感じた。eスポーツへの色眼鏡が取り払われた瞬間だった。

この「コンマ数秒」が鍵だ。

実際のコンタクト・スポーツと異なり、いわゆるアバターを使用するeスポーツの場合、プレーヤー同士が同会場に居合わせずともコンペティションは可能だ。ただし、解像度や複雑性が増すばかり現在のハイスペックなゲームにおいて、4Gでは通信障害が「コンマ」の障壁となる。既存の大会のように同会場で対戦している場合、その障害は少ないが、プレーヤーが遠隔地より参加しコンペティションを行う際、「低遅延」「大容量」を実現できる5Gがプラットホームとしてより適している。

これが通信各社がeスポーツ領域に参戦している理由だ。

文=松永裕司

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