私たちは、科学が警告していた悪夢のシナリオに突如として直面し、全世界で人びとと社会に悲劇が及んでいます。新型コロナウイルスの大流行は、今後、何年にもわたって経済に影響を及ぼし続けるとみられます。
森林破壊の拡大が新しい感染症の流行を助長している
言うまでもなく、今なお進行している気候と環境の危機に対しても、科学は警鐘を鳴らしてきました。例えば、次のようなことが分かっています。
・地球生態系の75%が人間の行動によって「激変」している。
・最大100万種が絶滅の危機にさらされている。
・湿地帯の85%以上が既に消失している。
・1分間にサッカー場ひとつ分の森林が日々消失し、1970年からおよそ90%増加した温室効果ガス排出の大きな理由のひとつになっている。
このような傾向は疑いなく断ち切るべきであり、逆転させる必要があります。
これ以上の環境崩壊という耐え難いリスクを回避するため、アースデイという年に一度の機会に目を向けなければなりません。失い、破壊し、排出しているものばかりではなく、達成し、取り戻し、低減できているものもあるということを。
持続可能な開発目標(SDGs)とパリ協定の達成には、この10年のうちに、温室効果ガス排出量を全世界で急減させ、生態系の再生を実現する必要があると、科学は告げています。企業や政策立案者、イノベーター、消費者にとって、これは、個人と集団の行動を根本から転換することを意味しています。このステークホルダー資本主義という新しい変革の中心になるべきものが、森林なのです。
健全な森林は、生態系の中でも極めて重要なもののひとつであり、人の文明は森林なしでは存続も繁栄もできないと言っても過言ではありません。森林は最も生産性の高い二酸化炭素吸収源であり、貯水機能を持ち、天候の調整を助けているほか、食料や医薬品の源泉であり、都市や地上全体の空気の浄化に貢献しています。
さらに、近年多くの研究機関が、森林が人の健康と幸福に役立つことに注目しています。森林破壊の拡大が、新しい感染症の流行を助長しているのです。森林面積の減少は、ここ17年の間に着実に進んでいますが、ニパウイルスやジカ熱、エボラ出血熱など、新たな疾患の流行のうち31%は森林破壊に関係していると言われています。