ビジネス

2020.05.02 17:00

「永遠の課題」に対峙した、あるグローバル企業の決断 #新しい師弟関係

井土 亜梨沙
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新型コロナウイルスの影響で、人との物理的な距離感、コミュニケーションの仕方が変わるなか、「いかに人間関係を育むか」は、この先の大きな論点のひとつだろう。 4月25日発売のフォーブス ジャパン6月号では「新しい師弟関係」に焦点を当て、全55組の師弟を紹介。本誌掲載記事から一部抜粋でお届けする。


世界最大級のデジタルコンテンツ企業ゲッティイメージズの日本代表を務める島本久美子はキャリアの手本とする人物として、同社のアメリカ本社で初の女性CEOとなったドーン・エイリーの名を挙げた。マイノリティのリーダーから学んだ、多様性が社会に与えるインパクトとは。

われわれ写真業界は、まだまだ男社会で、ドーンがCEOとしていてくれるだけで、心強いと思いました。彼女は母国イギリスで数多くの大手メディアで重要なポストを担い、私にとっては今までなかなかいなかった貴重なロールモデルでした。

彼女がCEOになったことで、役員メンバーもガラリと変わり、人種や性別の多様性も重視されました。ドーンの指示で、国を超えたダイバーシティ& インクルージョングローバル諮問委員が゙発足し、私は立ち上げメンバーの1人に。女性管理職の割合を増やすなど、数値目標だけでなく、質的な格差にも目を配るようにしました。

「インクルージョンに終わりはない。永遠の課題です」と話していたドーンの姿が印象で゙した。会議の場では、発言できなかった人に対しても優しく気を配り、発言機会を与えることも。 リーダーとしてだけでなく、人としての姿勢が多くの人の信頼を勝ち取ってきたのではないでしょうか。 

ゲッティイメージズは、カメラマンや被写体の多様性を高める取り組みに力を入れたり、次の東京オリンピックでは、ゼロに近かった女性のスポーツカメラマンの数を全体の2割まで増やそうとしたりしています。

彼女がトップであったことの影響力が大きく、私自身も日本のトップとして、会社が 提供しているヒビジュアルが消費者にどれくらい影響を与えているかを改めて考えました。 男女の割合も含め、障害者などあらゆる人々をきちんと実社会のように反映できているか。社内の人事でも社外に提供するコンテンツでも大事にしていきたい考え方です。 



そのほか、マネーフォワードCEO辻庸介、マクアケ代表取締役社長の中山亮太郎、作家の辻仁成から政治家野田聖子まで、全55組の師弟関係を一挙公開。フォーブス ジャパン2020年6月号は現在、好評発売中!ご購入はこちらから。



島本久美子◎大阪ガス、英ゲーム会社、 英イメージネットを経て、2004年ゲッティイメージズ入社。09年同社ヴァイスプレジデント兼日本法人代表取締役に就任。

ドーン・エイリー◎ゲッティイメージズ非常勤取締役。Channel5会長兼CEO、米ヤフーのシニア・ヴァイスプレジデント、ゲッティイメージズCEOなどを経て現職。

文=井土亜梨沙、写真=Getty Images

この記事は 「Forbes JAPAN 1月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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