生息する範囲は多岐にわたり、ノルウェー沖数十メートルに居るサンゴも居れば、大西洋の300メートルを超える深い海底に住むものも居る。ただし、深海に住むサンゴは熱帯に住む仲間とはいくつかの点で異なっている。
熱帯に住むサンゴは褐虫藻と共生しており、昼間は褐虫藻の光合成から生まれる物質を餌としている。さらに、夜間はプランクトンを触手で捉えて食べている。
一方で、冷たい水の中で暮らすサンゴは、褐虫藻のようなパートナーを持たない。太陽の光が届かない深海で、褐虫藻は生きていけないからだ。そのため、深海に住むサンゴは触手で捉えるプランクトンのみを食料にしている。
冷たい海に住むサンゴは、熱帯のサンゴより寿命が長いことで知られ、8000年以上も生き続ける例も報告されている。
深海に住むサンゴに関する記述は、16世紀の書物でも確認できる。ノルウェーの文献によると、これらのサンゴは薬草として扱われていたようだ。
深海のサンゴの研究は、潜水艦の登場とともに加速した。海底地図のプロジェクトMAREANOでは先日、ノルウェー沖の深海で20万個のサンゴの群れを発見した。
ノルウェー地質調査所(NGU)の研究者のTerje Thorsnesは「我々が想像していた以上の数のサンゴが、ノルウェー近海には生息しているようだ。今後のデータ解析により、詳細を明かしていく」と述べた。
深海サンゴは、熱帯のサンゴと同様な多様な種を持っているようだ。ノルウェー沖だけでも、26種類が確認されている。石のようなサンゴや、やわらかいサンゴ、ツノのようなサンゴなど、形状もまちまちだ。海底の条件によって、形状の異なるサンゴが住んでいる。
MAREANOの研究者たちは、地域ごとのサンゴの分布を調べるだけでなく、海水温や潮の流れがサンゴの生育にどのような影響を与えているかを分析しようとしている。研究を通じ、研究者はミステリアスな深海サンゴの生態を明らかにしようとしている。