独自に「非常事態宣言」を発表 なぜ岐阜県は迅速に動けたのか

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その後、県内施設や店舗等への休業協力金の支給金額が発表されると、県庁に設置された専用電話は1日中鳴り続けた。発表翌日の17日は約3000件、18日が2000件、その後も日に1000件と続く。

その対応には、県庁の各部局の職員が土日返上であたっている。なかには、職員に対してひどい言葉などを浴びせる電話もあったということだが、皆それに耐えていた。ある職員が「豚コレラ対応時には豚の処理の仕事が本当に辛かったが、今回は命を助けるためだと思えば耐えられる」と言っていたのが印象的だった。

たぶん、こういった状況は、程度の差はあれども、全国各地で似たようなことが起きているはずだ。休業を余儀なくされた人々は、例えば従業員への給料や店舗の家賃など目の前のことごとに翻弄されている。まして、今回は「先行きが見えない」という大きな不安のなかにある。でも、だからこそ、まずはこの現状を受け止めたうえで、「未来を見つめ、いま、自分ができること」を、行政も民間もしっかり認識すべきだと思うのだ。

何よりいまは、ひとりひとりが「感染しない、させない」ための「命を守る」時期でもある。しかし、この「耐える時期」にこそ、それぞれが自分の意志で、自分の居場所で、その先を見越していくことが、各々の「未来」をつくることになるはずだから。

連載 : Enjoy the GAP! -日本を世界に伝える旅
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文=古田菜穂子

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